(ブルームバーグ): ソニーは28日、今期(2021年3月期)の連結営業利益予想(従来予想6200億円)を前期比17%減の7000億円に上方修正した。市場予想6589億円を上回った。ゲームや音楽など半導体を除くすべての部門の営業益予想を増額した。

  部門別に見るとゲーム部門ではソフトや有料会員サービスの増収が今期の営業益予想を押し上げる見通しとなったほか、音楽部門ではアニメ事業で増収となることが奏功する。

  SBI証券の和泉美治シニアアナリストは電話取材で、今期の業績修正について「半導体が下方修正になっても全体では上方修正している。ソニーの事業多様化の強みが出ている」と評価した。

今期営業益予想の内訳

  ゲーム部門ではプレイステーション(PS)4向けソフト販売などが好調で、その背景には新型コロナウイルスの感染拡大による巣ごもり需要がある。年末商戦を控え、11月12日には次世代機PS5を発売、同月10日にXboxシリーズの新型機を投入する米マイクロソフトやスイッチの好調が続く任天堂との競争に突入する。

  同社の十時裕樹最高財務責任者(CFO)は28日の決算説明会で、巣ごもり需要は下期(10−3月期)に向けても継続するとの見方を示し、今期のPS5の販売台数はPS4の初年度実績である760万台以上の達成を目指すとの方針を明らかにした。

  音楽部門では、連結子会社のアニプレックスが制作、配給にかかわる劇場版「鬼滅の刃」無限列車編が公開から10日で興行収入100億円を突破したことに触れ、「IP活用によるエンターテインメント事業間のシナジー強化へのさらなる貢献を期待している」と述べた。

  また、CMOS画像センサーが主力の半導体部門では米中摩擦が大きく影響しているとし、中国の大手顧客向けの出荷が9月15日に停止し、下期の業績予想には同顧客向けの出荷を織り込んでいないと述べた。

  上期(4−9月期)の同部門の営業利益は753億円だったが、通期計画は810億円にとどまる。十時CFOは同部門の本格的な収益回復は23年3月期になるとの見通しを示した。従来6500億円としていた今期までの3年間の設備投資額を400億円程度減額する方針も明らかにした。

  今期の想定為替レートは1ドル=105円前後(従来107円前後)、1ユーロ=123円前後(同120円前後)とした。

7−9月期は増益

  7−9月期の連結営業利益は前年同期比14%増の3178億円と市場予想(1899億円)を大幅に上回った。ゲームや音楽分野などが大幅に増益となったことが影響した。

  ソニーは保険や銀行業務を手掛けるソニーフィナンシャルホールディングス(FH)の完全子会社化を9月2日に完了しており、それ以降で初の決算となった。出資比率が65%から100%になり、7−9月期から純利益がその分上乗せされた。

  完全子会社化により収益性の安定がより期待されるとして、繰り延べ税金資産の評価性引当金を取り崩し法人税などを減額したことも、純利益を大幅に押し上げた。

(十時CFOの会見でのコメントを追加して記事を更新します)

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