(ブルームバーグ): 米連邦準備制度をはじめとする各国・地域の金融当局は、新型コロナウイルス禍による恐慌を回避するため、政府や金融市場と連携してきた。しかし金融当局はやがて、こうした連携の解消が容易でないのに気付くことになるだろう。

  金融当局が量的緩和などの金融刺激策を解除しようとした場合、低金利環境がすっかり気に入った投資家や議員からは反対の声が上がるかもしれないからだ。

  アリアンツの主任経済顧問で、ブルームバーグ・オピニオンのコラムニストでもあるモハメド・エラリアン氏は先週のパネル討論会で金融当局について、「いわば出口のないパラダイムにますます組み込まれつつある」との見方を示した。

  こうした問題は現在、差し迫ったものではない。経済が力強さを取り戻すことを意味するのであれば、金融当局にとってはむしろ歓迎すべき事態だろう。連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は6日の講演で、「金融政策と財政政策が引き続き協調し合えば、景気回復は一段と力強くなり、動きも速くなるだろう」と語った。

  だが今後、新型コロナワクチンが承認されて普及し、米国をはじめとする世界経済が正常に戻り始めた段階で、問題が生じる可能性がある。そのような段階で緊急の刺激策を縮小しようとした連邦準備制度などが引き締めを制約されれば、多額の流動性供給が続いて資産バブルや過度のインフレ高進につながる恐れがあるからだ。

  ブリッジウォーター・アソシエーツの投資調査ディレクター、レベッカ・パターソン氏は13日、外交評議会(CFR)のブリーフィングで、「投資家はこのような状況を過去数十年間、考える必要がなかった。現実になろうとなるまいと、そのようなリスクシナリオに備えるのは非常に重要だ」と話した。

  欧州中央銀行(ECB)のチーフエコノミストを務めたピーター・プラート氏は15日、国際金融協会(IIF)主催のパネル討論会で、現状では金融当局と政府の利害が一致しているため、その関係は「一種のハネムーン状態にある」とした上で、「双方の利害に違いが生じ始めたら、とてもデリケートな局面となる」とコメントした。

  元FRB理事で、現在はシカゴ大学教授のランダル・クロズナー氏も同じ討論会で、各国・地域の金融当局が利上げの必要性を感じたとしても、それは政府の借り入れコストを増加させるため、累増しつつある多額の政府債務の下では「利上げが難しくなるだろう」と指摘した。

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