(ブルームバーグ): 20年ぶりの高値更新が続くソフトバンクグループ株。投資家は、孫正義社長が売却による資産の現金化など経営姿勢をこれまでの積極攻撃から守備重視に一転させたことで、同社の保有する資産価値が再評価されたとみている。

  19日の日本株市場で株価は前週末比3.2%高の7244円と続伸し、終値ベースで2000年3月以来の高値を1週間ぶりに更新した。

  孫社長は人工知能(AI)革命の指揮者になりたいと、ここ数年成長途上のAI関連企業に積極的に投資してきたが、シェアオフィス運営の米ウィーワークでつまづき、投資先の公正価値減少でビジョン・ファンドが1兆円近い巨額赤字を出したと発表したのは昨年11月だ。

  その後業績や財務悪化への投資家の懸念が一段と強まり、今年3月に株価は一時3000円を割り込む水準まで急落。厳しい事態を受け、4兆5000億円規模の資産売却を通じ負債削減や自社株買いに取り組んだほか、米ナスダック上場銘柄への投資、「ブランク・チェック・カンパニー」と呼ばれる特別買収目的会社(SPAC)の設立計画も明らかになるなど経営の方向性は1年前と比べ様変わりした。

  しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹運用部長は、株価が急落した3月ごろは「負債ばかりに焦点が当たり、資産が見えづらく、あるといっても絵に描いた餅だった」と指摘。しかし、孫社長が「攻めから転じ守りの姿勢」を示したことで、ソフトバンクGは「資産売却で巨額のキャッシュを手にする」ことができると分かった、と言う。

  ビジョン・ファンドを率いるラジーブ・ミスラ最高経営責任者(CEO)は12日のブルームバーグとのインタビューで、未公開の有望企業を買収してその企業を将来的に上場させることを目的とするSPAC設立を明らかにした。  

  しんきんアセットの藤原氏は、SPACについて「ビジョン・ファンド2号にお金が集まらない中、新しく投資するための新しい器」と分析し、「今お金がじゃぶじゃぶとあり、過剰流動性が起きていて、タイミングとしてはいい」との見方を示している。

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