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日本銀行の桜井真審議委員は21日、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化した場合の金融システム懸念に言及した上で、必要な対応を迅速に行うための準備が重要との見解を示した。

  桜井委員は同日午前の福井県金融経済懇談会での講演で、コロナの影響が長引けば企業倒産の増加で金融機関の経営体力が損なわれ、「金融システム自体の機能低下につながる恐れも考えられる」と指摘。実体経済への下押し圧力が強まる可能性も否定できないとし、「実体経済、金融システム双方の状況をしっかりと点検しつつ、必要な対応を迅速に行えるよう準備しておくことが重要」と語った。

  その上で、コロナの影響による構造改革の進展見通しを踏まえ「金融システムの中長期における安定性をしっかりと維持し、金融機関が新たな構造変化の促進においてその役割と機能を発揮する」ことが重要と主張。「適切な金融仲介機能の発揮のため、日本銀行としても必要な対応を行っていく」との考えを示した。

  桜井委員は午後の記者会見で金融システム面における具体的な対応を問われ、「具体的な対応はまだ先の話だが、いろいろな工夫や検討をしておくことが現段階では必要だ。地道な研究を積み重ねていく必要がある」と語った。

  金融政策運営に関しては、3月以降の一連の金融緩和措置が企業の資金繰り支援と金融市場の安定確保などの面で効果を発揮しているとし、現状は「既存の政策の効果を見守る段階」と語った。当面は資金繰り支援と金融市場の安定維持に努めるとともに、「今後も政府や主要各国中銀との協力体制を維持しつつ、必要に応じて迅速かつ適切に政策対応を行うことが重要だ」と講演で指摘した。

  来年3月末が期限のコマーシャルペーパー(CP)と社債の増額買い入れや貸し出し制度などのコロナ対応プログラムについては、懇談会でも延長を求める声が出ていたことに記者会見で言及。「状況をみながら必要があれば迅速に行動しなければいけない」としながらも、現時点では資金繰りは落ち着いているとして「丹念に点検していくということでいい」との認識を示した。

  日銀は28、29日に金融政策決定会合を開き、終了後に新たな「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」を公表する。桜井委員は日本経済が「回復に転じていることははっきりしている」とし、7月の展望リポートの経済・物価見通しから「あまり大きな変化がないと認識している」と語った。

 

(記者会見での発言内容を追加して更新しました)

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