(ブルームバーグ): アジア太平洋地域に本拠を置くヘッジファンドの新規資金集めは今年、名の通ったファンドが好調な一方、新興ファンドは厳しい状況に置かれている。新型コロナウイルス対策の渡航制限で欧米の投資家と対面で会合が開けないためだ。

  トライベッカ・インベストメント・パートナーズやプレイアド・インベストメント・アドバイザーズ、ダイモン・アジア・キャピタル(シンガポール)、シレブラ・キャピタルなどのよく知られた運用会社が今年集めた資金は30億ドル(約3140億円)を超えた。調査会社ユーリカヘッジによれば、域内ファンドは1−8月に計31億ドルの純流出となっており、対照的だ。新規アジアファンドが今年に入って調達した額は中央値でわずか2000万ドル。

  アジアのこうした運用会社は域内でヘッジファンドに資産を振り向ける機関投資家が比較的少ないため、資産集めで欧米のソブリンファンドや大学寄付基金、慈善団体、年金基金を当てにしている。このため、新型コロナ対策の渡航制限が状況を一段と困難にする。クレディ・スイス・グループによる最近の調査によると、現地訪問なしにヘッジファンド投資が認められる投資家の割合はわずか30%だった。

  香港に本拠を置くシレブラのマシュー・ホワイトヘッド最高執行責任者(COO)は、「資産集めは今年可能だが、いつもより大変厳しい」と述べた。同社はテクノロジーに焦点を絞った新しいファンド向けに約4億ドルを集めた。

  トライベッカは3−9月に資産が約10億ドル増加。アジア担当最高経営責任者(CEO)ベン・クリアリー氏によると、その半分は新規資金で、残りは運用成績の向上によるものだ。

  APSアセット・マネジメントのコック・ホイ・ウォン最高投資責任者(CIO)は、契約済みの北米および欧州の機関投資家から約2億ドルの追加資金流入があったと説明。中国が比較的早く新型コロナの感染拡大を封じ込め経済を急速に回復させたことが投資家にとっての魅力を高めていると指摘した。

  ただ、シレブラのホワイトヘッドCOOは「今の局面で投資家が投じる額は少なめだろう。初期投資の規模も小さく、ゆっくり積み増される」との見通しを示した。

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