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NTTがNTTドコモの完全子会社化を決めるなど、日本企業による合併・買収(M&A)が増える兆しが出ている。これは買収資金の調達に向け企業が巨額の起債に動く可能性があることを意味する。

  NTTはドコモを約4兆3000億円で完全子会社化する方針で、そのための費用の一部を賄うため社債発行を視野に入れている。実現すれば、企業買収に充てる資金調達を目的とした社債調達ではシャイアーを買収した武田薬品工業、アンハイザー・ブッシュ(AB)インベブから豪ビール会社を買収したアサヒグループホールディングスに続く大型案件になる見込みだ。

  投資家にとって大型案件は魅力的だ。返済リスクが増す分、発行利率が高めになることが多いためだ。今年は新型コロナウイルスの感染拡大で世界のM&Aは減っているが、人口減少で国内事業の明るい展望が描けない日本企業は引き続き海外展開をもくろむ。コンサルティング・監査法人のEYが日本企業幹部を対象に実施した調査では、57%が向こう1、2年でM&Aを積極的に検討すると答えた。

  三菱UFJモルガン・スタンレー証券の池崎陽大投資銀行本部デット・キャピタル・マーケット部長は一般論だと前置きした上で「発行額が通常より大きい場合、その大きさやマーケット環境に応じてある程度高い利率つまりボリュームプレミアムが求められる可能性がある」と話す。また「日本銀行の追加金融緩和の後押しもあり、企業買収に限らず社債を活用する動きは今後も増えていくだろう」との見方を示した。

  武田薬が2019年に発行した5000億円の劣後債も巨額起債のプレミアムが乗った例として説明できるかもしれない。最終償還年限が60年で24年に期限前償還が可能になるこの劣後債は、発行時の国債上乗せ金利が175ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)だった。これに対して、日本格付研究所(JCR)による格付けが同じA−の住友化学は昨年、償還スケジュールが武田薬と同じ劣後債1000億円を上乗せ金利85bpで起債している。

  巨額の買収資金を調達する日本企業は、国内市場だけでは必要額を集められないとの懸念から円建てと合わせて外貨建てでも社債を発行する傾向がある。武田薬はドル建てとユーロ建てを発行、アサヒGHも10月、3年超ぶりにユーロ建て債を起債した。

  国内外の資本市場での資金調達などを専門とし、ベーカー&マッケンジー法律事務所のキャピタル・マーケットグループでパートナーを務める松添聖史氏は、仮にNTTが社債を発行した場合、「需要はあるだろうが、市場で全額が吸収されない可能性があり、その場合は調達コストも上がる」とし、「それを避けるために外債発行も含め検討することは十分にある」とみている。

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