(ブルームバーグ): 三菱重工業は30日、国産初のジェット旅客機事業について、新型コロナウイルス感染拡大の影響で航空需要の回復が見通せないことから、開発費を大幅に縮小する方針を明らかにした。

  同社が発表した3カ年の中期経営計画によると、ジェット旅客機「スペースジェット(旧MRJ)」向けの来期(2022年3月期)以降の3年間の投資額は200億円と、今期までの3年間の3700億円から大幅に縮小する。

  主力機と位置づけていた「M90」の開発は「いったん立ち止まる」とした。国が機体の安全性を証明する「型式証明」の取得に向けた活動は継続するという。これとは別に民間航空機などの生産減に対応し、海外で2000人規模の削減実施したことも明らかにした。国内でも石炭火力や民間航空機の縮小を見込み、3000人規模の人員対策を行うという。

  08年に開発が始まったスペースジェットは、初号機の納入がこれまで6度にわたり延期され、多額の資金が投じられてきた。新型コロナ感染の再拡大を受け旅客需要の回復のめどは立っておらず、スペースジェットを取り巻く事業環境は厳しさを増している。

  同事業での損失の影響で三菱重の前期(2020年3月期)の事業損益は295億円の赤字に転落。4−9月期にもスペースジェット関連の事業損失は822億円に上っていた。

  同社は同日、7−9月期の事業利益が前年同期比62%減の127億円だったと発表。同社は前日に、デンマークのヴェスタスとの洋上風力発電設備の合弁会社の譲渡などで約500億円の事業利益を計上する見込みだとし、従来は損益トントンとしていた通期の事業利益見通しは500億円、純利益は200億円となるとそれぞれ上方修正していた。

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