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ソニーは12日、新型ゲーム機「プレイステーション(PS)5」を発売した。マイクロソフトの「Xbox」新型機や「あつまれどうぶつの森」人気で好調な任天堂の「スイッチ」との競争激化が予想される中、年末商戦を含む初年度販売の勢いが今後の収益の鍵を握る。

  ソニーの十時裕樹最高財務責任者(CFO)は10月28日の決算説明会で、今期(2021年3月期)のPS5の販売台数はPS4の初年度実績である760万台以上の達成を目指すと述べた。PS5は視覚や聴覚、触覚でより没入感のあるゲームが楽しめるのが特長。PS4のソフトも継続して遊べる。

  PS5の公式ブログによると、発売日は予約分で完売した。通信販売サイトでは在庫切れが相次ぐほか、フリマサイトでは定価の数倍での取引が目立つなどすでに人気化の兆しがある。ソニーは10日、ブログに「徹底解説!」を掲載した。

  ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)の若杉政寛アナリストは、「発売2年目以降にハードウエアコスト割れの状況を脱し、利益拡大のフェーズに入る」とみている。出荷760万台の前提で、有料会員数と1人当たりダウンロード本数が約13%増加すれば、粗利段階の赤字カバーも可能だと分析する。

  ソニーは今期のゲーム事業の営業利益について、新型コロナウイルス感染拡大に伴う巣ごもり需要を追い風に、前期比26%増の3000億円と見込む。半導体事業が7割近くの減益予想となる中で業績上方修正の要因となった。今後はPS4から収益をいかにPS5へと移行できるかどうかが課題となる。

  UBS証券の福山健司アナリストは、「マージンの高いアドオンコンテンツや有料会員向けサービス」の動向に注目。大和証券の鈴木崇生アナリストは黒字化の時期は「ソフトのラインナップ次第だが、市場は不安視していない」と述べた。BIの若杉氏は「PS5のサイクルピーク時には過去のピーク利益を上回る」公算があるとみている。

年末商戦

  ソニーにとって年末商戦は、PS4の初年度販売を超えられるかどうかの布石となる。10日に発売したばかりで価格帯もPS5と同等のマイクロソフトXboxや、発売から3年半を経過しても任天堂の利益を押し上げているスイッチと激突する。スマートフォン向けアプリやパソコンで遊べるオンラインゲームも競争相手だ。 

  ソニーはPS4でも人気の「スパイダーマン」最新作などのソフトで切り込む。任天堂はスーパーマリオシリーズの最新作などで需要の上積みを狙う。マイクロソフトはXboxを持たずにパソコンやスマートフォンで遊べるクラウド型のゲーム配信にも注力している。

  BIの若杉氏はソニーが年末商戦でPS5販売を成功させるには有力ソフトで引き付け、ユーザーが求めるだけの「ハードウエアをいかに供給できるか」が重要になると分析する。大和証の鈴木氏は任天堂はスイッチ販売、Xboxは有料会員の拡大などそれぞれ「自社計画の達成」を重視した取り組みを強化するとみている。

  ソニーの株価は12日、一時前日比1.9%高の9215円と続伸し、01年半ば以来約19年ぶりの高値水準で取引されている。

(ソニーの株価動向を追加しました)

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