(ブルームバーグ): 高橋洋一内閣官房参与(嘉悦大学教授)は、新型コロナウイルス感染拡大を受けた経済悪化による失業者や自殺者の急増を防ぐため、来月編成する第3次補正予算で40兆円規模の財政支出が必要との見解を示した。25日のインタビューで話した。

  金額は高橋氏が試算した潜在GDPと7−9月期の実質国内総生産(GDP)の差であるGDPギャップ(需給ギャップ)と同水準。高橋氏は10−12月期もギャップは縮小しない可能性があるとの見通しを示し、予想を超える財政支出は「みんな驚くだろうが、理念的にはそれがベストだ」との考えを示した。高橋氏の試算は、潜在成長率の見方の違いにより、政府試算の30兆円超よりも大きい。

  高橋氏は、GDPギャップを放置した場合、9月に3%だった失業率がさらに2ポイント上昇し、210万人だった失業者が120万人増える確率が「7割程度ある」と述べた。失業者数と強い相関のある自殺者数は、コロナ感染による累計死者の3倍に当たる6000人増える可能性があると試算した。

  リフレ派として知られる高橋氏は財務省出身で、経済・財政政策担当の参与。菅義偉首相に経済見通しなどについて助言している。財政健全派の熊谷亮丸大和総研専務らとともに先月、参与に就任した。米プリンストン大学でノーベル経済学賞を受賞したクルーグマン氏に師事した経験を持つ。

  コロナ対策については、米欧各国でも、国債発行による財政出動と中央銀行による国債買い入れという財政と金融政策の協調が図られている。

  高橋氏はバイデン次期米大統領が財務長官への起用を計画しているジャネット・イエレン連邦準備制度理事会(FRB)前議長について「非常に雇用重視。財政出動して、中央銀行が国債を買うというパターンはものすごく取りやすい」と分析。米国が財政拡大し金融緩和した場合、「日本も同じようにやらないと円高になり、日本企業は大変になる」と述べた。

  また各国による財政・金融政策は「株高の要因になる」と認めつつも、ワクチン開発期待などさまざまな要因があり、グリーンスパン元FRB議長の言葉を引用して「バブルかどうかは崩壊しないと分からない」と説明。「バブルでも人の命を救えた方がいいという価値判断がある」と語った。

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