(ブルームバーグ): ユーロ圏経済には資金調達環境が厳しくなる初期の兆候が見られていると、欧州中央銀行(ECB)のチーフエコノミストを務めるレーン理事が述べた。ECBは政策決定を2週間後に控えている。

  レーン理事は26日、オンラインでのスピーチで「最近の調査データには幾分の不安な兆候が表れている」と述べ、中小企業に関する融資と投資、および資金アクセスの指標を根拠に挙げた。「状況の展開に対応し、景気回復を支える良好な資金調達条件が続くことを確実にするため、必要に応じて政策手段を再調整する」と表明した。

  ECBは12月10日に政策を決定する。パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の拡大と延長、市中銀行へのさらなる長期資金提供が広く期待されている。

  レーン理事のスピーチと並行して10月28、29両日の政策委員会会合の議事要旨が公表された。議事要旨は12月に行動することについて幅広い支持があったことを示した。

  議事要旨によると、メンバーらは「先に想定していた以上の急激な成長モメンタムの減速と基調的インフレ動向の落ち込み、リスクバランスの悪化を踏まえ、12月に金融政策手段を再調整することが妥当だと広く同意」した。

  10月の会合以降、新型コロナウイルスの感染再拡大に伴う新たなロックダウンがユーロ圏経済に打撃を与え、10−12月(第4四半期)はマイナス成長となる可能性が高い。ECBは新型コロナ流行が続く間、そして当座の危機が終わり回復段階に入った後も、低金利を維持する意向だとレーン氏は述べた。

  「ワクチン治療の開始に向けた進展について今後数週間あるいは数カ月にさらなる前向きなシグナルが出ることは大歓迎」だとした上で、「マクロ経済の回復が早過ぎるイールドカーブのスティープ化によって頓挫しないようにすることが必須だ」と論じた。

  議事要旨によると、レーン理事は10月の会合で既に銀行融資調査について懸念を示していたが、一部のメンバーは融資環境の引き締まりがあるとしても深刻なのか疑問を呈し、調査結果を過度に重要視すべきではないと主張した。

  債券購入拡大の効果に懐疑的な声もあり、ECBが銀行への長期資金供給ファシリティーの拡充についても検討することが示唆される。

  市場が3月以降に安定したことを踏まえると、「追加の資産購入が金融環境と実体経済の活動に対して当時と同等の効果を与えない可能性もある」との議論もあった。

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