(ブルームバーグ): 米JPモルガン・チェースや野村ホールディングスなどグローバル金融機関が中国でリサーチアナリストの採用を増やしている。中国は53兆ドル(約5465兆円)規模の金融市場の開放を進めており、国内アナリスト数は5年連続で過去最多を更新した。

  中国証券業協会によると、昨年の登録アナリストは3475人と前年から8%増えた。一方、コンサルティング会社クリシル・コーリションのデータによれば、世界の主要銀行12行の株式調査人数は上期(1−6月)に合計で12%減少した。

  この数年、ウォール街の金融機関が人員削減を進める中で、中国は世界的な傾向に逆行。新型コロナウイルス禍からの急速な景気回復や資本市場の拡大で、株式から債券、商品に至るまでセルサイドアナリストの需要が高まっている。昨年は外資金融機関による証券事業の全額出資が認められるようになり、勢いがさらに増している。

  リクルーティング会社マイケル・ペイジの上海在勤パートナー、ジャッキー・ワン氏は「外資系銀行は過半数株式取得後に採用を強化している」と指摘。中国経済の底堅い成長を受け、優良銘柄から小型株までカバレッジ拡大に向けて自信を深めていると話す。

  中国証券業協会の登録によると、JPモルガンは昨年3月の証券合弁設立後、19人のアナリストを採用。野村は8人増やした。クレディ・スイス・グループは昨年9月にアナリスト11人を増員。野村の北京在勤広報担当者、リリアン・リウ氏は同社の採用数を確認。JPモルガンの担当者はコメントを控えた。

  上海智生道人才諮詢のフィンテック・リクルートメント責任者、ジャッキー・ヤン氏はコロナ禍で拍車が掛かったボラティリティーを受け、地場の証券会社も採用を増やしていると指摘。ただ、積極的に増員してきた規模が小さめの一部証券会社がリサーチだけでは利益を出せず、こうした勢いは持続不可能かもしれないと話す。

  中国証券業界は130社余りがひしめいており、再編の可能性で体力に余裕がない企業は退場を余儀なくされ、数百のリサーチ雇用が失われる可能性もある。

  一方、アナリスト需要の拡大に対して、報酬の伸びは見劣りする。ヤン氏によれば、転職希望者は2020年には15−20%の報酬増を見込んでいたが、過去の好調期は20−30%増だった。

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