(ブルームバーグ): 昨年末からの断続的な寒波で消費が増えたことなどから電力需給が逼迫(ひっぱく)しており、日本卸電力取引所(JEPX)で取引されるスポット価格が6日連続で史上最高値を更新した。

  JEPXスポット市場の翌日受け渡し分の電力価格(全国24時間平均)は7日、前日比11%高の1キロワット時当たり99.9円と最高値を更新した。

  ブルームバーグNEFのアナリスト、オランプ・マッテイ氏は、価格高騰の背景には原子力発電所の多くが停止していることに加え、冬季の再生可能エネルギーの発電量が低いことなどから市場への供給が買い手の需要を下回っている可能性があると分析。同氏によると、想定を上回る需要に不意を突かれた一部の電力小売り事業者が入札で購入価格を引き上げている可能性が高いという。

  電力の需給状況を監視する電力広域的運営推進機関は6日、東京電力ホールディングス(HD)や関西電力の管内で供給力不足が継続的に発生していることから、両社と両社管内の発電設備を持つ企業に対して最大出力で発電所を運転することを要請。

  さらに、その他の地域のJEPX会員企業に対し余剰電力を市場で販売するよう求めた。同広域機関の広報担当によると、こういった要請を出すのは2015年の設立以来初めてだという。関西電広報担当の山本浩貴氏は管内の自家発電設備を保有する企業に対し、出力の増強と余剰の電力を供給するよう求めたことを明らかにした。

  東電HD傘下の東京電力パワーグリッド(PG)の発表によると、同社は7日午前0ー6時に東北電力と中部電力から最大32万キロワット、午前6−11時に中部電から最大10万キロワットの電力供給を受けたという。

  出力約160万キロワットの発電設備を保有する石油元売り最大手ENEOSホールディングスの広報担当は、同社はすでに最大限発電しており余剰はないと話した。JFEホールディングスの広報担当は、子会社のJFEスチールに対し東電から売電の要請が来ており、可能な範囲で協力していくと話した。

  同機関が取りまとめた電力需給見通しによると、7日の供給予備率は関西電管内に加えて四国電力、中国電力、北海道電力の管内でも4%と最低限必要とされる3%に近い水準で低迷している。東電管内の予備率は19%と余裕がある状態。電力の周波数は東西間で異なるが、両地域を橋渡しする周波数変換設備の容量は計210万キロワットに限定されており電力融通のボトルネックとなっている。

  東日本大震災後に電力供給が不足した時には、政府が大口需要家や消費者に対する節電要請の発令や、大手電力会社による計画停電の検討開始の目安として「予備率3%以下」が基準となっていた。経済産業省関係者は、現時点では節電要請の発令については検討していないと話した。

発電燃料調達も困難に

  電力の需給バランスが崩れた背景には供給側の要因もある。東電PGによると、連日の低気温で電力需要が増加し、液化天然ガス(LNG)を使う火力発電所が計画を上回る稼動を継続していることで燃料の在庫が減少。そのために発電量を調整していることから電力需給が厳しくなっている。LNG火力は国内で全体の約4割を占める主力電源だ。

  北東アジア地域を襲った寒波により国内外で消費が増加しており、域内の市場でのLNG供給も逼迫している。東電HDと中部電力の共同出資会社で世界最大級のLNGの買い手であるJERA(ジェラ)や韓国ガス公社などがスポット市場での調達を迫られており、価格は史上最高値に迫っている。

  北東アジアのLNGの指標スポット価格は6日、100万Btu(英国熱量単位)当たり19.98ドルと14年2月に付けた市場最高値20.20ドルに迫る水準となった。

(アナリストのコメントや東電PGの発表を追加して更新します)

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