(ブルームバーグ): 前日本銀行理事の前田栄治ちばぎん総合研究所社長は、3月に公表する金融政策の点検の結果、日銀による上場投資信託(ETF)の購入は株価の「水準やトレンドなども含めてより総合的に判断しながら、買い入れ額や頻度を考えていくことになろう」と語った。

  前田氏は13日のインタビューで、日銀のETF購入はバブル崩壊後の最高値更新が続く現在のような状況では控えるなど、株価水準も意識した一段とメリハリをつけた買い方になる可能性があるとの見方を示した。市場が不安定化した際など「必要な時に効果的な対応を行う機動性が高まる」という。昨年5月までは金融政策を企画・立案する企画局の担当理事を務めていた。

  日銀は昨年12月の会合で、2%の物価安定目標を実現する観点から「より効果的で持続的な金融緩和」の実施に向けた点検を行うと表明。黒田東彦総裁は会見で、現行の緩和策の枠組みや物価目標などは変更せず、イールドカーブコントロール(YCC、長短金利操作)政策の運営やETFなどの資産買い入れの方法が対象になると説明した。

  前田氏は総裁発言などを踏まえ、政策点検は「技術的な修正にとどまる可能性が高い」と指摘。点検を受けた措置は「持続性を高めるために、市場機能や金融仲介機能といった副作用により配慮するものになる」と語った。具体的にはETF買い入れの一層の弾力化、イールドカーブのスティープ(傾斜)化、付利制度の見直しなどを検討対象として挙げた。

  付利制度に関しては、「成長力強化により自然利子率を高める」観点から、現行の成長基盤強化や貸し出し増加の支援を目的とした資金供給制度を利用する金融機関の当座預金へのプラス金利の付利などが考えられるという。欧州中央銀行(ECB)のようにグリーンボンド(環境債)を買い入れ対象とすることも検討事項になり得るが、「現時点での実現可能性は半分以下だろう」と述べた。

  今回の政策点検は、将来的な物価目標の在り方の議論など「黒田東彦総裁後の金融政策をにらんだ第一歩のように思える」と指摘。グローバル化やデジタル化の進展で物価は「5−10年単位で見ても目標に到達する可能性は極めて小さい」とした上で、2%は中長期の目標であるとの位置付けを「より明確に示すことになる意味は大きい」と語った。

  政府が11都府県に緊急事態宣言を再発令したことで1−3月期の日本経済は年率換算で1桁のマイナス成長に落ち込む可能性があるものの、金融市場の安定を除けば「コロナ対応の主役は財政政策であり、金融政策はそれを側面支援する役割になっている」と指摘。現在のYCCや資産買い入れなどで十分に対応は可能とし、追加緩和が必要な状況ではないとの見方を示した。

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