(ブルームバーグ): 米国の短期金利トレーダーは、連邦準備制度の政府預金口座(TGA)に財務省が預け入れる現金残高の動向が1年余り頭から離れなかった。

  現金残高はその間4倍に増え、先週時点では1兆6300億ドル(約171兆円)だったが、今後急減が予想される。過去最高値圏にある金融市場を広く支える流動性の源として、TGAの現金残高に注目が集まっている。

  シティグループ・グローバル・マーケッツのクレジット商品戦略グローバル責任者、マシュー・キング氏は8日付のエッセーで、TGAの現金残高が7月までに1兆ドルから1兆5000億ドル減少し、民間投資家の手元に実質的に流動性が再供給される可能性が高いと思われると指摘した。

  キング氏は「これが単に金融市場の専門オタクにとっての問題か、システム全体にとって重要な意味を持つ問題かが唯一重要な論点と思われる。短期金融市場の配管の重要性が過小評価されているという長年の確信と、経験から得られたさらなる証拠を考え合わせると、後者ではないかと疑わせる」との見解を示した。

  同氏によれば、米国債のインフレ連動債(TIPS)の実質利回りは、リスク資産動向の確かな指標となってきたが、市場が既に達成した以上の「メルトアップ(急伸)」を予想させる根拠をほとんど提供していない。だが、TGAの現金残高は「がらりと違う見通しを示唆している」という。

  新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済対策に充てる資金の借り入れを財務省が増やしたことで、TGAの現金残高は昨年7月のピークには1兆8300億ドルに膨らんだ。財務省は先週、6月末までに5000億ドルに減少するとの見通しを公表。連邦政府の債務上限を停止する合意が成立しない場合、さらに大幅に減ることもあり得る。

©2021 Bloomberg L.P.