(ブルームバーグ): コンピューターグラフィックス(CG)用半導体メーカーの米エヌビディアが半導体設計の英アームを買収する計画は半導体業界内の競争を損なうとして、世界的なハイテク企業が米国の反トラスト規制当局に対し懸念を伝えた。エヌビディアは昨年、ソフトバンクグループ傘下のアームを買収することで合意した。

  反トラスト調査に詳しい複数の関係者が、公に話す権限を持たないことを理由に匿名で明らかにした。それによると、アルファベット傘下のグーグルやマイクロソフト、クアルコムなどが当局に介入を要請した。このうち少なくとも1社は買収を認めないよう求めているという。12日の米株式市場でエヌビディア株は売られ、前日比1.9%安の598.45ドルで取引を終えた。

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  アームの買収はエヌビディアにとって、半導体の基幹技術をアップルやインテル、サムスン電子、アマゾン・ドット・コム、中国の華為技術(ファーウェイ)といった企業にライセンス供与する主要サプライヤーの支配権を得ることを意味する。

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  エヌビディアの広報担当者は発表資料で、「審査過程が進む中で、アームの開かれたライセンスモデルの継続と、アームのライセンス供与先企業との透明かつ協力的な関係を確保する当社計画の利点が、規制当局と顧客の両方に理解されることを確信している」と説明。「アームに対する当社のビジョンは、アームの技術供与先企業全ての事業成長と新規市場開拓を支援する」との見解を示した。

  エヌビディアは取引完了までに、米国や英国、欧州連合(EU)、中国などの規制当局による長い審査プロセスを経る必要がある。

  大手ハイテク企業からの反対の声が高まっていることで、当局の承認獲得が難しくなる可能性があるほか、審査プロセスに遅れが出たり、アームの価値に変化が生じるような譲歩を迫られることもあり得る。ソフトバンクグループにとってもリスクとなる。

(エヌビディアの見解などを追加して更新します)

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