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23、24両日の米議会公聴会で証言したパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は、金融引き締めを検討する状況には程遠いとの景気認識を示した。しかし25日の金融市場では、急速なだけでなく恐らく過熱気味ですらある景気回復の可能性を織り込む動きが急激に広がった。

パウエルFRB議長、債券購入の継続を示唆−改善への期待も表明

  こうした緊張の核心にあるのは、連邦準備制度が昨年導入した金融政策の新たな枠組みだ。経済回復の初期段階での利上げは行わず、2%のインフレ目標を意図的に数年単位でオーバーシュートすることも容認する内容で、経済に悪影響を与えずに雇用改善をどこまで進めることができるかを試すものでもある。

  21兆ドル(約2226兆円)規模の米国債市場の状況から判断すると、投資家の一部はこのような連邦準備制度の説明を信じていない様子だ。短期金利の動向は連邦準備制度がほぼ2年以内に利上げに踏み切る可能性を示唆。中長期債利回りの急上昇は、急速なリフレによって当局が刺激策の縮小を迫られるかもしれないとの見方を反映している。

  サマーズ元財務長官や国際通貨基金(IMF)のチーフエコノミストを務めたオリビエ・ブランシャール氏ら著名経済学者からは、バイデン大統領が来月の成立を目指す1兆9000億ドル規模の経済対策について、景気過熱を招くとの警告の声が上がっている。

  米国債利回りが月間ベースで2016年11月以来の大幅上昇に向かっている中、借り入れコスト上昇の脅威で米株価は急落。こうした動きが続けば、連邦準備制度は債券購入をもっと期間が長めのものに傾斜させるなど対応を余儀なくされる可能性があるとFRBウオッチャーは指摘する。

  ワシントンを本拠とする政策調査会社LHマイヤーのエコノミスト、デレク・タン氏は「パウエル議長には決意を示す真の責任がある。それには大きな勇気が必要となりそうで、重圧の下で議長がどのように行動するのか分からない」と述べ、当局が昨年導入した「枠組みにとり、これが最初の試練だ」との見解を示した。

当局の選択肢は

  デリバティブ(金融派生商品)トレーダーが織り込む米利上げ開始時期の予想は23年初めごろと、従来の24年初めから前倒しされている。

  元FRBエコノミストで、現在はコーナーストーン・マクロのパートナーであるロベルト・ペルリ氏は、当局による早期の緩和策縮小を見込むトレーダーの動向について、「連邦準備制度がもっと強力な言い回しを用いて利上げ観測を押し返すとしても意外ではない」と話す。

  このほか、連邦公開市場委員会(FOMC)としては、資産購入のテーパリング(段階的縮小)開始に先立ちインフレと雇用の目標に向けて「一段と顕著な進展」を必要としている点で、もっと具体的な意思表示の方法を見つけなければならないかもしれない。

  また、月額800億ドルのペースで実施している米国債購入において、期間が一層長めの債券を対象にすることで利回り上昇を直接抑え込む選択肢も考えられる。

(当局が採用すると想定される選択肢などを加えて更新します)

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