(ブルームバーグ): パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、米国債市場が当面のインフレ高進の可能性に懸念を抱える中にあっても動じることのない大きな目標を見据えている様子だ。

  パウエル議長は17日の記者会見で、投資家に対し3つの重要なメッセージを発した。その内容は、米国債利回り上昇に過度の心配を抱くことはなく、金融政策を巡るコミュニケーションを統括するのは自分であって、新型コロナウイルス禍からの経済の回復を支援するため景気過熱を容認するというものだ。

  インフレ加速によって米金融当局がこれまで示唆してきたよりも早期の利上げ開始を余儀なくされるとみて、投資家は米国債利回りを押し上げている。そうした中で議長が行った今回の会見は3年前の就任以来、恐らく最も率直な内容だった。

市場に肘鉄

  米国債利回り上昇を懸念しているかとの質問に対し、パウエル議長は金融環境に言及し、引き続き「極めて緩和的だ」と答えた。投資家が気をもんでいるインフレ高進リスクについて、感情的な揺れで思い悩むことはないと明確にした形だ。

  パウエル議長には明確なリフレ戦略があり、過去数十年間にわたり低インフレが続いた後には、それが容易でないと考えている。議長は「政策枠組みの基本的な変更点は、予想に基づいて予防的に行動することは総じてなく、実際のデータを静観するというものだ」と語った。

ガイダンス統括は自分

  パウエル議長は、最新の四半期経済予測の金利予測分布図(ドット・プロット)で示された連邦公開市場委員会(FOMC)参加者の金利見通しについて、その重要性に繰り返し否定的な見解を表明。将来の引き締めのタイミングのガイダンスを示すのは自分自身であることを明確にした。  

過熱容認

  最新予測では、2021年のインフレ率や経済成長率の予想が大幅上方修正され、失業率についても23年末までに3.5%と、新型コロナ禍前の水準に改善するとの見通しが示された。しかし、当局者の過半数は利上げの必要性をまだそれほど感じていないことも浮き彫りとなった。

  パウエル議長はまた、インフレ期待が2%水準で定着していることから、金融当局として物価の持続的上昇を招くことなく景気を過熱させて、これまで取り残されてきた層にも恩恵が及ぶもっと包摂的な回復を実現することは可能だとしている。

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