(ブルームバーグ): 中国政府が進める金融リスク排除の取り組みで何が直近の対象になっているかを探ることが、重要なトレーディング戦略となりつつある。

  中国当局者による資産バブルに関する警告後、中国株の売りは1兆3000億ドル(約141兆円)規模に膨らみ、酒造メーカーなど最も人気を集めていた銘柄の下げが目立った。

  昨年11月にはフィンテック企業アント・グループのビジネスモデルに懸念を強めた政府が、同社による350億ドル規模の新規株式公開(IPO)を上場直前でやめさせた。フィンテック締め付けの中でも、テンセント・ホールディングス(騰訊)の株価は上昇し、時価総額が一時1兆ドルに迫ったが、その後は大きく売られた。

  資産価格の急反転は、外国人投資家の存在感が高まっているにもかかわらず、共産党が中国の金融市場に極めて大きな影響を及ぼし続けていることを示している。規制当局はその意図するところを以前よりも声高に唱えるが、党の政策は部外者には不透明なままだ。はっきりしているのは、昨年の刺激策で国内総生産(GDP)に対するレバレッジ比率が280%近くになったことを受け、リスクに対処するという中国政府の決意だけだ。

  北京柏治投資管理の李根最高経営責任者(CEO)は「中国が見舞われているのは一段と複雑な環境だ。資産価格が経済ファンダメンタルズ(基礎的諸条件)から逸脱しつつあるとの懸念を当局は繰り返し表明しており、国外での金融混乱のリスクもある」と述べる。

  3月だけでも中国銀行保険監督管理委員会(銀保監会)の郭樹清主席が国内の不動産バブルや外国資本の急速な流入、高値圏にある世界の金融相場など多くのリスクに懸念を示し、中国人民銀行(中央銀行)の劉桂平副総裁は「金融安定法」の導入を提唱した。

  李克強首相は金融システムのリスク軽減で中国が直面している「手ごわい仕事」について話し、中国証券監督管理委員会(証監会)の易会満主席は「ホットマネー」の大きな流れは厳格に管理しなければならないと20日に語った。

  習近平政権は景気回復の機を捉え、レバレッジ解消を進めようとしている。米国との貿易戦争で棚上げになっていた早くからの目標で、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で目標達成がさらに先送りになっていたのが脱レバレッジだ。

  北京楽瑞資産管理のクレジット投資ディレクター、史敏氏は「市場で2017、18両年が繰り返される可能性がある。18年には民間企業と不動産会社が最も打撃を受けた。今年は過剰な生産能力や高水準のレバレッジを抱える地方政府所有の企業がターゲットだ」との見方を示している。

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