(ブルームバーグ):

スイスの銀行、クレディ・スイス・グループは、米ファミリーオフィス、アルケゴス・キャピタル・マネジメントのポジション解消に絡む損失が数十億ドルに上るとみている。事情に詳しい関係者が明らかにした。

  同行は29日、相次ぐ損失に対する投資家の怒りに直面しつつ、動揺する行員への対応に追われた。投資家は既に、今月破綻した英金融ベンチャー、グリーンシル・キャピタルへのエクスポージャーに驚かされていた。

  3月の事件での損失は1年分以上の利益を吹き飛ばし、自社株買い計画も脅かす恐れがある。トマス・ゴットシュタイン最高経営責任者(CEO)は、自身とリスク管理責任者のララ・ウォーナー氏が同行のエクスポージャーを管理していたのかという問いに直面する。

  大株主の1社、ハリス・アソシエーツのデービッド・ヘロー最高投資責任者は「この銀行のリスク管理をあらゆるレベルで検証し、不備があれば変更する必要がある。しかしこれは当たり前のことだ」と語った。

  クレディ・スイスはアルケゴス関連で「非常に重大な」損失に直面していると明らかにしている。ベレンベルクのアナリストらは30億スイス・フラン(約3500億円)程度と推計。グリーンシル関連は5億フラン程度と見積もっている。

  約1年前の就任以降、ほぼ恒常的に問題への対応に追われているゴットシュタインCEOは29日遅くの電話会議でシニアバンカーやトレーダーの不安解消に努めたと、事情に詳しい関係者が述べた。投資銀行責任者のブライアン・チン氏とともに、損失の規模を特定する過程にあると説明し、報酬への影響を心配するべき時ではないと説いたという。

  関係者によると、シニアバンカーらは同行がいつ失敗から学ぶのかと尋ねた。幹部らは配当が支払えるかどうかを判断するには尚早だとも説明したという。

  ビル・フアン氏のファミリーオフィス絡みで損失に直面しているのはクレディ・スイスだけではないものの、同行は以前から貸し倒れや評価損、スキャンダルなどに見舞われ続けている。

  アルケゴスからの損失の規模はまだ確定できないものの、15億スイス・フランの自社株買い戻し計画が犠牲になる可能性があると、ベレンベルクの銀行アナリスト、エオイン・ムラニー氏が指摘している。

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