(ブルームバーグ): パナソニックが米テスラの要請を受け開発中の電気自動車(EV)向け新型リチウムイオン電池「4680」。車載電池事業の責任者を務める高本泰明氏は、この電池の使命は「EVの生産コスト低減」にあると意気込む。低価格化は世界で広くEVが普及する起爆剤になり得るからだ。

  高本氏はインタビューで「電池単体で車を安くするのではなく、車全体でみた時に一番安くできるか」を念頭に、量産化に向けて試作を進めていると述べた。4680とは直径46ミリメートル、長さ80ミリメートルの円筒形電池の寸法を指し、EV生産の低コスト化と航続距離のバランス最適化を目指すテスラが考案した。

  4680を採用すれば、EV1台当たりの搭載本数は現行品(1865、2170)の4000−8000本に対して500本程度で済むと高本氏は試算する。大型化により1本当たりの容量を5−6倍に増やしながら、車体に組み込む際の工数削減などが可能になるとみている。

  EVで世界覇権を目指すテスラは、昨年9月の「バッテリーデー」で、3年以内に2万5000ドル(約286万円)のEVを製造する計画を発表した。自社でも4680の開発に乗り出しているが、高品質の製品を量産化できるかが課題だ。ロイター通信によると、韓国のLG化学も2023年に米欧で4680の生産を目指している。

  高本氏は、量産化した場合に「われわれが目論んでいるような価格」が成立するかどうかを検証している段階という。パナソニックの津賀一宏社長は4680を他のEVメーカーにも販売したい意向を示している。テスラの「モデル3」の国内価格は429万円から717万3000円。2月に最大24%値下げした後の販売は急増している。

  環境規制の強化に伴う世界的な自動車電動化の加速で電池の需要は急拡大している。パナソニックは来年4月の持ち株会社体制移行後も、テスラ向け電池を含むエナジー事業の強化を成長戦略の一つと位置づける。 

  高本氏は量産化を決めた場合、投資額は「かなり大きな規模」になるとの認識を示した。パナソニックはテスラと共同運営する米電池工場「ギガファクトリー」に2000億円以上を投資してきた。

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