(ブルームバーグ): 株式強気派は6週間前、利回り上昇で慌てたが、今はそうした上昇が発する経済シグナルを受け入れている。

  四半期ベースで1980年以来最悪となった米国債利回り上昇が株式相場上昇に水を差すとウォール街では心配されたが、こうした懸念を裏付けるものはほとんどなさそうだ。指標の米国債利回りが新型コロナウイルス感染拡大前の高水準付近で推移しているにもかかわらず、5日のS&P500種株価指数は週末発表された3月の雇用統計を受けて最高値を更新した。

  金利が上昇すると、ハイテク株や成長株といった割高な銘柄の魅力が低下することが多いが、米経済統計が非常に堅調でそうした論拠は説得力を欠いている。エコノミストの見通し上方修正も相次いでいる。

  こうした状況を受けて、株価と債券利回りが共に上昇していると、ベアードの投資戦略アナリスト、ロス・メイフィールド氏はみている。同氏は利回り上昇について、「正当な理由で起きている限り、株式市場はさほど留意していない」とした上で、「利回り上昇には経済見通し改善が影響している。それは株式市場を構成する企業にとってもプラスだ」と指摘した。

  モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメントのポートフォリオマネジャー、ジム・キャロン氏は物価上昇の影響を除いた実質利回りがマイナス0.64%と大幅なマイナス圏にとどまっているため、債券と比較した株式の魅力は維持されるはずだとの見方を示した。

  同氏は「実質利回りが大幅に上昇し、成長が横ばいであれば、相当な引き締まりだ」とし、「2021年の成長率予測が4%から8%になれば、実質利回りが若干上昇しても市場は吸収できる」と指摘した。

  エコノミストの間で広がる楽観論は米企業収益予想にも浸透してきた。ブルームバーグの週間データによると、アナリストは1−3月にS&P500種構成企業の利益予想を6.7ポイント上方修正した。これは04年の統計開始以降で四半期ベースとして最大の引き上げだ。

  クレディ・スイスのストラテジスト、ジョナサン・ゴラブ氏は先週のリポートで、「昨年6月以降に米10年国債利回りは(0.7%から1.7%に)100ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇し、多く投資家が高水準の株価収益率(PER)の持続性に疑問を持った」とした上で、「PERの安定を伴う状況で、株式相場全体の上昇は利益改善で説明できる」と指摘した。

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