(ブルームバーグ): コマツの小川啓之社長は、成長著しい中国の建設機械メーカーが東南アジア市場で存在感を高めていることに警戒感を示した。同社では従来よりも価格を下げた製品を投入するほか、独自のデジタル技術を活用し、対抗する構えだ。

  ブルームバーグの取材に対し書面で答えた。小川社長は、中国の建機メーカーが東南アジアへ進出し、「ここ数年でシェアを伸ばしてきているのは事実だ」と指摘。対抗策の一つとして一部仕様を簡素化し、現行機種より10%から15%価格を下げた油圧ショベルをインドネシアなどで投入する方針を示した。

  フィリピンでは今後の事業展開を見据え、情報通信技術(ICT)を使って建設現場の人材不足解消や安全性向上など生産性を高めるソリューションサービス「スマートコンストラクション」の試験導入を開始している。  

  小川社長は、「アジアはわれわれにとって重要なマーケット」だと強調した上で、「中国メーカーができないビジネスに注力していく」と述べた。価格攻勢をかける中国勢に新モデルの投入で対抗するほか、同社が強みとするデジタル技術を取り入れた新事業や長年かけて築いた代理店網を活用したアフターサービスの分野で先行し、シェアを守っていく考えだという。

  多額のインフラ投資を受け建機市場が急拡大する中国では、低価格を武器に現地メーカーのシェアが8割程度まで高まる半面、コマツや日立建機など日本勢を含む外資メーカーは苦戦を強いられている。世界の建機市場でコマツは米キャタピラーに次ぐ世界第2位の事業規模を維持しているが、中国の三一重工は昨年、時価総額でコマツを抜いた。

  一方、小川社長は足元の事業環境について、建機や鉱山開発用の機械の受注が堅調に推移しており、前期(2021年3月期)業績は会社計画から「多少は上振れると思う」と話した。需要は、昨年の新型コロナウイルス感染拡大による影響からの回復ペースが想定よりも早く、今期(22年3月期)は「コロナ前の水準に戻るかもしれない」と言う。

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