(ブルームバーグ): 中国当局が電子商取引大手アリババグループに対し、独占禁止法違反で約182億元(約3050億円)に上る過去最大の罰金を科すと10日に発表した後、同社は規制当局に謝意を示すという異例の対応を取った。

  アリババは公開書簡で、「政府の健全な規制や尽力がなければ当社の成長はなかった。そして当社顧客層の全てによる批評と寛容さ、支持は当社の発展に極めて重要」と説明。「感謝と敬意でいっぱいだ」と表明した。

  これは中国での当局による大手テクノロジー企業への締め付けがいかに独特であるかを示唆している。米当局がフェイスブックやアップルに反トラスト法違反で過去最大の罰金を科したとしたら、マーク・ザッカーバーグ氏やティム・クック氏が公に謝意を示すことはないだろう。

  中国当局の動きは何から何まで異例づくしだ。わずか4カ月で独禁法調査を終えており、数年を要する欧米とは違いが鮮明だ。

  アリババにとって、182億元という罰金処分は多くが懸念していたほど厳しくなく、創業者の馬雲(ジャック・マー)氏が築いたインターネット帝国を巡る不透明感の払拭(ふっしょく)にも寄与する。

  国家市場監督管理総局によると、182億元の罰金はアリババの2019年国内売上高のわずか4%に基づく。米クアルコムに対して15年に科した過去最大の罰金額(約10億ドル=約1100億円)の約3倍に上るが、中国の法律で認められている最高10%を大きく下回る。

  共同創業者の蔡崇信副会長は12日、投資家との電話会議でアリババや他のテクノロジー大手による買収や投資に関して既に明らかになっている調査以外に、同社を巡る独禁法上の調べは承知していないと述べた。

  アリババは「強制的な分割や資産売却などもあり得たが、そうした結果を回避した。今回の罰金は同社のビジネスモデルを揺るがすこともない」と法律事務所デントンズの北京オフィスで独禁法を扱う弁護士ジェット・トン氏は話す。

  だが、アリババの早期降伏は規制面のさらなる措置への脆弱(ぜいじゃく)性も浮き彫りにした。同社が淘宝(タオバオ)上の模倣品を巡る当局の批判に公然と反論し、当時の国家工商行政管理総局が最終的に主張の取り下げを余儀なくされたわずか6年前とは様相が一変した。

  12日の香港株式市場でアリババ株は前週末比で一時9%高となっている。

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