(ブルームバーグ):

衣料品チェーンの「ユニクロ」を運営するファーストリテイリングが、コロナ禍でフリースやヒートテックに続く新たなヒット商品を生み出している。着け心地を優先させた「ワイヤレスブラ」の販売が伸び、国内女性用下着市場でワコールホールディングスを抑えてシェア首位に躍り出た。

  

  ユーロモニター・インターナショナルによると、44億ドル(約4800億円)規模の同市場で2020年にFリテイリは22%を占め、前年1位だったワコール(同年は2位、シェア20%)を追い越した。3位はしまむらで14%だった。世界的な巣ごもり需要で、デザインよりも快適性を優先した衣服が好まれるようになっている。

  Fリテイリの時価総額は1月と2月に一時的に「ZARA(ザラ)」ブランドを展開するスペインのインディテックスを上回り、衣料品製造小売りで世界首位に立った。

  クレディ・スイス証券の風早隆弘アナリストは、消費者は下着を定期的に買い換えることから「ベーシックで安定的な収入となるもの」と分析し、「ユニクロへの来店動機を高める」との見方を示した。

10年前に取り組み開始

  ユニクロで女性用下着やルームウエアを担当するグローバル商品本部の炬口佳乃子部長によると、同社がワイヤレスブラに「本気で取り組み始めた」のは10年前だ。「ユニクロが、ワイヤーを過去にする」と宣言し、窮屈なブラジャーで胸元を演出する時代は終わったと訴えた。

  他社の下着がワイヤ製品が主流だった時代にワイヤレスに集中。炬口氏は、女性の社会進出が徐々に進み、市場が急成長したのに合わせて仕掛け、「マーケットを取った」と振り返った。

  ブラジャーのフィッティングアドバイザーの松田弥生氏は、後発組だったユニクロが売り上げを伸ばして上位の下着メーカーに迫ったのは「4−5年前から続いている状況」だと話す。同氏はセミオーダーメイド・ブラジャーの通販サイト「All for Me(オールフォーミィ)」の事業マネジャーも務めている。

海外成長

  海外では人種が多様化しサイズ感が異なるため、国内の成功がそのまま海外でも成功に直結する保証はない。松田氏によると、ブラジャーはカップサイズとアンダーサイズの組み合わせが目安となることから、「洋服のようにS、M、Lサイズで売っても成り立つわけではない」という。ユニクロのブラジャーの最新製品を見ると、サイズ展開が大ざっぱだと指摘した。

  炬口氏によると、人種ごとに骨格や体形に違いがあり、海外でもフィッティング試験を通じてそれぞれの体型に最適なものを検証している。例えば、下着とTシャツが一体となった「ブラトップ」の同一サイズの商品でも、アジアカップと欧米カップで金型を使い分けるなど工夫している。また、最新製品ではユニクロ独自の伸縮性のカップを使うことで対応している。

  自宅で過ごす時間が増えたことでブラトップは海外でも人気を集めており、「フィット感の研究、着け心地の研究は普通の服を売る以上にやっていく」と抱負を語った。

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