(ブルームバーグ): 外国為替市場で米金利高に引っ張られたドル・円の上昇がピークアウトしたとの見方が出ている。米長期金利が頭打ちとなり、今後は経常収支などからくるドル安・円高圧力が顕在化してくるとの見立てだ。

  JPモルガン・チェース銀行の佐々木融市場調査本部長は、年初からの米長期金利上昇がもたらした円売りポジションは基本的に投機であり、それがすべて巻き戻されるなら1ドル=105−106円までドル・円が下落してもおかしくないと指摘。さらに、巻き戻しが終わった後も「需給の差から緩やかなダウントレンドが続くと見ておいた方がいい」と語る。

  ドル・円は年初の102円台から米金利高と歩調を合わせて上昇してきたが、3月末に約1年ぶり高値の110円97銭を付けた後、108円前後まで反落している。米長期金利は足元1.5%台に低下。3月末には1.8%付近と14カ月ぶりの高水準を付けていた。

  米国では貿易赤字が過去最大に膨らむ一方、日本の経常収支は所得収支を中心に黒字が続く。三菱UFJ銀行グローバルマーケットリサーチの内田稔チーフアナリストは、米国の貿易赤字などから生じるドル安圧力が次第に勝り、「すう勢としては年末105円方向に向かって徐々に下がっていく」と予想する。米経済に照らせば米長期金利も1.8%が限界で、それ以上の上昇は株式の本格調整を通じてリスクオフの円高を招きかねないと考える。

  過去に円安要因として注目された日本からの対外証券投資も、海外短期金利が低水準にとどまっているため、為替リスクをヘッジした投資が中心で、円売り圧力を生みにくいとの見方が多い。一方、日本の対外直接投資の復活は円安要因となる。野村証券の後藤祐二朗チーフ為替ストラテジストは「年率20兆円ぐらいの流出に戻っている可能性」があるとし、「少なくとも昨年後半のような円高にならない」とみる。  

  米長期金利の動向を占う上で注目されるのが、27−28日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)だ。ただ、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は米経済成長が一段と強まる可能性を認めながらも、強力な金融緩和政策を維持する姿勢を崩していない。  

  シティグループ証券の高島修チーフFXストラテジストは「米国は経常赤字なので、FRBの引き締め的な動きがかなり現実的になるまではドル安局面とみないといけない」と指摘。「期待インフレ率主導の金利上昇によるドル高圧力ははく落していく」との見通しを示した。

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