(ブルームバーグ): 日本銀行は27日の金融政策決定会合後に公表した経済・物価情勢の展望(展望リポート)で、2021年度の実質国内総生産(GDP)の見通しを上方修正した。緊急事態宣言などが下押し圧力となるものの、海外経済がけん引する見通し。金融政策運営は現状維持を賛成多数で決めた。

  足元の国内経済は感染拡大に対する警戒感が強いが、米国を中心に海外経済が好調に推移している。海外経済の判断は「総じてみれば回復している」に上方修正した。

  景気の先行きは「回復していくとみられる」と判断を引き上げた。見通しのリスクも当面は「下振れリスクの方が大きい」としたが、見通し期間の中盤以降は「概ね上下にバランスしている」としている。

  一方、消費者物価(生鮮食品除く、コアCPI)上昇率の見通しは、21年度が0.1%と前回の0.5%から明確に下振れた。新たに携帯電話通信料の値下げを反映させたことが要因。22年度は0.8%上昇と小幅な上方修正を見込む。

  初めて公表した23年度は1.0%上昇となった。景気回復に伴って物価も次第に上昇していく姿を示したが、同年4月の黒田東彦総裁の任期満了までに2%目標は達成できない見通しとなった。

  黒田総裁の下で13年4月に始まった大規模緩和を10年続けても物価は期待通りには上がらない一方で緩和の副作用は拡大。金融システム面のリスクについて「先行きの動向を注視していく必要がある」としている。

(注)単位は%。実質GDP伸び率とコアCPI上昇率の数値は対前年度比、政策委員見通しの中央値。参考コアCPIは消費増税・教育無償化政策の影響除くケース

  日銀は前回の3月会合で、金融緩和のさらなる長期化が見込まれる状況下での点検を踏まえて、上場投資信託(ETF)買い入れの柔軟化や長期金利の変動許容幅の明確化などの政策修正を決定した。ブルームバーグがエコノミスト42人を対象に15−20日に行った調査では、全員が今回会合での政策の維持を予想していた。

  政府は23日、新型コロナウイルス感染症が再拡大している4都府県に25日から5月11日まで緊急事態宣言を再発令した。3回目の今回は酒類提供やカラオケ設備を持つ飲食店や大型商業店舗に休業を要請するなど、飲食店への時間短縮要請が中心だった前回の1月よりも厳しい対策となっている。

  経済の持ち直しが進む海外の先進国では、カナダの中央銀行が他の主要中銀に先駆けて資産買い入れ規模の縮小を開始し、テーパリング(量的緩和縮小)の動向が市場で関心を集めている。米国でもワクチン接種の進展や大型経済対策を背景に景気回復の足取りが強まり、足元でインフレ率も上昇する中で、連邦公開市場委員会(FOMC)が27、28日に開かれる。

(展望リポートの詳細を追加します)

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