(ブルームバーグ): ソフトバンクグループの孫正義社長は12日の決算会見で、前期(2021年3月期)の連結純利益が日本一となり、米国の巨大IT企業をしのぐ水準に達したものの、米企業と比べ評価が低い自社の株価水準に不満を漏らした。

  孫社長は、業績が好調だった前期でも「グリーンシルなど投資の失敗はあった」と反省した半面、保有株式の価値から純有利子負債を引いた時価純資産(NAV)は1年間で4兆4000億円増えたと説明。期末の1株当たりNAVが1万5015円だったのに対し、同日の終値は9180円にとどまっており、現在の水準は「安過ぎる」「過小評価されている」と述べた。

  どこかの時点でプレミアムがつくかだろうが、仮につかなくても自身の経営姿勢は変わらないと強調し、「認めてもらう日までしっかり頑張る」とも話した。

  ソフトバンクG株は昨年3月、新型コロナウイルスの感染拡大による世界的な株安や投資先企業の業績不安などで16年以来となる3000円割れの水準まで急落。4兆5000億円の資産売却を通じた自社株買いと負債削減策を発表したことなどをきっかけに反発し、今年2月には約21年ぶりに1万円を回復した。

  ただ、総額2兆5000億円に及んだ自社株買いの取得は終了し、追加で取得枠の設定があるかどうかが今後の焦点の一つとなっている。ソフトバンクGはこの日、4月に発表した発行済み株式総数の16.31%相当分に続き、1.97%分の自社株を消却すると発表した。

  孫社長は会見で、追加の自社株買いの可能性について適切な時に判断し、発表することはあるかもしれないとしたが、「今現在何かを決定しているということはない」とも話した。

4年ぶりに最高益

  前期純利益は4兆9880億円と4年ぶりに最高益を更新し、日本企業ではトヨタ自動車が18年3月期に記録した2兆4940億円を抜き、過去最大となった。グーグルの親会社である米アルファベットも上回った。

  アルファベットが2月に発表した20年12月期の純利益は402億6900万ドル(約4兆3800億円)だった。しかし、ソフトバンクGの足元の時価総額はアルファベットの約167兆円と比べおよそ10分の1にすぎない。

  ソフトバンクGの業績は、1兆円近い過去最高の赤字を計上した20年3月期から一変した。今年3月にニューヨーク市場に上場した韓国の電子商取引大手クーパンなど出資先の新規株式公開(IPO)が好調だったことなどで、一時は批判されたスタートアップに巨額資金を投じる孫社長の戦略が奏功した格好だ。

  ビジョン・ファンドや持ち株会社投資事業などからの投資損益は7兆5290億円の黒字(前の期は1兆4102億円の赤字)となった。ファンド事業のセグメント利益(税引き前利益)は4兆268億円の黒字(同1兆4126億円の赤字)。

  ビジョン・ファンド1号の上場投資先に関する評価益は4兆2851億円で、未上場投資先の評価益は1兆2380億円だった。期末時点で81銘柄を保有し、投資額合計の749億ドルに対し公正価値合計は1207億ドル。

  2号ファンドは44銘柄を保有し、投資額合計67億ドルに対して公正価値は112億ドル。これまで200億ドルだった出資コミットメント額を300億ドルに増額した。2号ファンドについて孫社長は、当面自己資金で運営する方針を明らかにした。

  ソフトバンクGの運用子会社が行っている米国の現物株投資の公正価値は、3月末時点で199億ドルと昨年12月末の220億ドルから減少した。アマゾン・ドット・コムやフェイスブックなどを保有している。デリバティブについては、公正価値が16億ドルと同11億ドルから増加した。

(孫社長の発言詳細を追記し、更新します)

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