(ブルームバーグ): 先週のサイバー攻撃を受けて操業を停止している北米最大のパイプライン運営会社、米コロニアル・パイプラインは連邦当局に対し、ガソリンとディーゼル燃料の供給を安全に再開できるかどうか12日中に分かる見通しだと伝えた。

  コロニアルのジョー・ブラウント最高経営責任者(CEO)がグランホルム・エネルギー長官に明らかにしたものだが、操業再開時期についてはそれ以上の詳細は示されなかった。同社が週末までにシステムを復旧すると表明してから24時間余りが経過し、東部や南部の給油所でガソリンが枯渇しつつある現状にあって、政治リーダーらは不満を一段と募らせている。

  コロニアルは11日の発表資料で、システム復旧に向けて前進しているとした上で、供給が滞っている市場を優先する方針を明らかにした。また、市場の情勢を評価し、優先順位を決めるためエネルギー省と共同で取り組んでいると説明した。

  新型コロナウイルス禍からの景気回復を阻害しかねない危機的状況に歯止めをかけるため、連邦政府の資源を結集するよう求める圧力がバイデン大統領に対しても高まっている。バイデン政権は11日、幾つかの供給不足対策を打ち出した。また、米東部時間12日午後6時(日本時間13日午前7時)には下院でサイバー攻撃に関してブリーフィングを行う予定だ。

  フロリダ州のデサンティス知事は11日、「連邦政府が真剣に注意を払うべき事態だ」とした上で、「連邦政府が関与し、その緩和を支援する必要がある。ガソリン不足が生じており、今後、国民生活に多大な問題を引き起こすのではないかと懸念する」と指摘した。

  最初にサウスカロライナ州で顕在化したガソリン不足は、南部と東部の多くの地域に拡大した。グランホルム長官は記者会見で、コロニアルが12日に操業再開を決めたとしても、供給の完全復旧にはなお数日を要するだろうと語った。

  テネシー州からフロリダ州に至るまで各地の給油所ではパニック買いでタンクが空となり、客が門前払いされている。ホワイトハウスが一部の環境規制を緩和し、他地域からのガソリン流入が認められたものの、テキサス州やルイジアナ州の製油所は東部の市場に出荷できない燃料が積み上がるのに対処するため生産を抑制している。

  首都ワシントン地域の燃料販売業者は、「壊滅的な」不足が差し迫っていると警告し、当局者にスクールバスの運休を命じるよう要請した。

  全米自動車協会(AAA)によれば、全米の平均ガソリン小売価格は今回の混乱を受け1ガロン=2.985ドルと、2014年11月以来の高値に上昇。ニューヨーク大都市圏の卸売りガソリンのプレミアムは3カ月ぶりの高水準に跳ね上がった。木材や銅など商品価格が大幅上昇する中で、ガソリン価格の上昇も幅広いインフレ圧力の高まりにつながる可能性がある。

(4段落目に政権の下院ブリーフィングに関する情報を追加して更新します)

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