(ブルームバーグ): 日産自動車の株価は12日、一時前日比10%安の520.5円と昨年7月29日以来の日中下落率となった。同社が前日示した今期(2022年3月期)営業損益予想が収支トントンと市場予想を大きく下回ったことを嫌気した。

  SMBC日興証券の木下壽英アナリストは11日付のリポートで、現時点では先行きの不透明感が強いことや日産が収益改善の取り組み中であることを踏まえると、業績予想が「ある程度保守的になるのは想定線」とした。しかし、同日に傘下の三菱自動車が今期営業利益が300億円に黒字転換すると発表したことを考えると、日産の業績予想水準は「ネガティブサプライズと捉えられよう」とした。

  一方、ジェフリーズ証券の中西孝樹アナリストはリポートで、日産の低めの業績予想は今後の上方修正を意図した「印象戦略」の可能性があるとの見方を示した。半導体や材料関連のリスク要因を反映して日産の株価パフォーマンスは他社を下回ってきたと指摘し、ネガティブな株価の反応は長続きしないとの考えを示した。

  日産の内田誠社長兼最高経営責任者(CEO)は11日のオンライン記者会見で、同社が昨年5月に発表した中期経営計画の成果は「着実に結果で表れている」とし、24年3月期に5%とした営業利益率目標の達成に自信を示した。半導体不足により約25万台の減産となることや原材料価格が高騰していることなどのリスクを踏まえ、営業損益予想をプラスマイナスゼロとしたと説明した。

  コロナ禍の影響で一時的に落ち込んだ日産の販売はスポーツタイプ多目的車(SUV)の新型「ローグ」(日本名・エクストレイル)などの新型車を相次いで投入したことで徐々に正常化に向かっている。米国などで販売シェアが上昇する一方で販売奨励金は減少しており、カルロス・ゴーン元会長が進めた拡大路線からの転換が進む。

  ジェフリーズ証券の中西氏は、日産の固定費削減や販売規律の向上には着実な進展が見られるとした上で、量から質への転換は「一夜にして起こることはない」とした。日産が目標とする5%の営業利益率達成には24年3月期で540万台の世界販売が「不可欠」とし、今後は価格と台数のバランスが重要な問題となるとの考えを示した。

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