(ブルームバーグ): 欧州中央銀行(ECB)が10日に開く政策委員会では、超緩和的な金融刺激策の維持に必要なあらゆる根拠がそろう状況になりそうだ。それには米連邦準備制度の当局者のおかげという側面もある。

  新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)からの米景気の回復ペースはより速く、インフレ率もユーロ圏よりはるかに高い。それでも15、16日に開く米連邦公開市場委員会(FOMC)で、資産購入ペースを落とす決定はないと連邦準備制度の当局者は示唆している。

  景気回復が自律的といえるほど十分定着しているか確信が持てないというのが、その根拠だ。

  新型コロナワクチンの接種が始まった時期が遅く、景気の二番底からようやく抜け出しつつあるユーロ圏では、接種の目標達成は数カ月先となり、新たな変異株が人の移動を制限する恐れもある。

  アクサ・インベストメント・マネジャーズのチーフエコノミスト、ジル・モエック氏は「米連邦準備制度が発した最近のシグナルが恐らくECBの助けになるだろう。私は木曜(10日)に花火を予想していない。彼らが波風を立てることを望むとは思わない」との見方を示した。

  ベレンベルクのチーフエコノミスト、ホルガー・シュミーディング氏(ロンドン在勤)は「インフレと賃金圧力が大きく高進するとは考えていない。米国の方がリスクはより高いが、そこですら賃金インフレが独り歩きするとみていない」と分析した。

  米連邦準備制度もECBも9月より前に資産購入のテーパリング(段階的縮小)を開始すると投資家は予測しておらず、早くても2023年になるまで利上げもない見通しだ。

  モエック氏は「ユーロに波及する悪影響は抑えられ、市場の不安定化リスクは低下すると予想される。それはECBをより安全な環境に置く」と指摘した。

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