(ブルームバーグ): 日本銀行が17、18日に開く金融政策決定会合では、9月末に期限を迎える新型コロナ対応資金繰り支援特別プログラムの取り扱いが焦点となる。黒田東彦総裁の記者会見を含め、ワクチン接種の状況などを踏まえた内外経済見通しやポストコロナの政策対応にも関心が集まる。

  ブルームバーグが4−9日に実施したエコノミスト調査では、ほぼ全員が特別プログラムの延長を見込み、60%は今会合での決定を予想した。7月会合との回答は36%。イールドカーブコントロール(YCC、長短金利操作)を中心とした金融政策運営は、9割が現状維持とみている。黒田総裁は午後3時半から記者会見する。

  特別プログラムはコマーシャルペーパー(CP)・社債の増額買い入れと金融機関への低利の貸付制度で構成。国内では10都道府県が20日を期限とする緊急事態宣言下にあり、対面型のサービス消費を中心に経済への影響が継続している。引き続き「全体として厳しさがみられる」としている企業の資金繰りに関する足元の判断を踏まえ、延長の是非が議論になる見通しだ。

  関係者によると、6カ月程度の延長が有力視されているが、6月調査の全国企業短期経済観測調査(短観)の内容などを踏まえて7月の会合で判断しても遅くはないとの声もある。

  4月会合時と比べた景気動向は、緊急事態宣言の延長が足元で下振れ方向に作用する一方、好調な海外経済や国内のワクチン接種の加速が上振れ要因として意識されそうだ。世界経済の回復に伴う原材料価格の上昇やインフレ懸念の動向が日本の経済・物価に与える影響に加え、米欧中央銀行の政策対応への見解も注目される。

  15、16日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)は政策金利の維持を決める一方、経済予測では2023年末までに2回の利上げを見込んでいることが示唆された。ワクチン接種の進展に伴う国内の感染抑制や強力な支援策を背景に経済活動や雇用指標が強さを増す中、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、資産購入の規模縮小について当局者らが議論を始めたことを明らかにした。

  ポストコロナの観点も含め、気候変動問題を巡る日銀の対応への関心も高い。黒田総裁は5月27日のブルームバーグとのインタビューで、気候変動問題を中央銀行の使命に関わる重要な課題とし、金融政策面での対応も「当然議論になる」と語った。

  法政大学大学院の真壁昭夫教授は、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)や脱炭素を目的とした投資向けの資金供給など潜在成長力を引き上げるための資金配分を金融政策で行うことも「いずれオーソドックスな長短金利操作以外の手法として、議論に上る可能性はある」とみている。

決定会合の注目点

特別プログラムの延長は、多くのエコノミストが過去2回と同様に6カ月間と予想。国内でのワクチン接種加速などでコロナの影響収束への期待感が高まりやすいが、期間短縮の場合は日銀が先行きを楽観視していると見なされる可能性がある緊急事態宣言の延長を受けて、足元の景気判断は個人消費を中心に若干、慎重化することもあり得る。先行きに関しては、好調な海外経済や国内のワクチン普及を背景に上振れリスクが意識されやすい。全体として景気は4月の「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で示したシナリオに沿った動きとの認識とみられる3月の政策点検を踏まえた上場投資信託(ETF)の一段の買い入れ弾力化により、5月の購入額は13年から続く黒田総裁体制下で初めてゼロとなった。同時に長期金利は変動幅を明確化したが、その後も値動きの乏しい状況が続いている。一連の政策修正の効果について総裁会見で質問が出る可能性がある

現在の政策運営方針

日銀当座預金のうち政策金利残高にマイナス0.1%の金利を適用長期金利がゼロ%程度で推移するよう上限を設けず必要な額の長期国債を買い入れ。許容変動幅は上下0.25%程度ETFとJ−REITはそれぞれ年間約12兆円、約1800億円に相当する残高増加ペースを上限に必要に応じ買い入れCPや社債などは9月末までの間、合計約20兆円の残高を上限に買い入れ

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