(ブルームバーグ): 新型コロナウイルス禍からの世界的な経済回復は新たな局面に入った。複数の中央銀行が異例の金融刺激策の縮小・解除を始めるかその検討に着手。フル稼働の景気支援から徐々に移行する動きによって、各国・地域間の政策運営姿勢にばらつきが生じつつある。

  英国やカナダ、ノルウェー、スウェーデン、韓国、ニュージーランドの各国中銀が出口戦略を描き始める中にあって、米連邦準備制度が資産購入のテーパリング(段階的縮小)の議論開始を明らかにしたことで、世界的な潮流の変化が一段と鮮明になった。

  既にギアを切り替えた中国人民銀行の場合、流動性をなお必要とする部分には資金供給しつつも、債務抑制に焦点を絞っている。今年に入ってブラジルやトルコ、ロシアの各国中銀が利上げしていたのに続き、先週にはメキシコとハンガリー、チェコの中銀も利上げに踏み切った。

  ただ、経済活動の正常化は新型コロナ変異株の感染拡大で先が読みにくくなり、政策当局者の大部分が物価上昇の勢いは徐々に弱まるとみていることから、政策の転換は引き続き緩慢と見込まれる。欧州中央銀行(ECB)と日本銀行は緩和姿勢維持の方針を示唆している。

  こうした状況を踏まえ、JPモルガン・チェースのエコノミストは、世界の金利が年内平均で1.28%と、現行の1.27%からわずかに上昇するのにとどまると予想している。

  そうであっても、今後の政策転換の在り方は世界的な回復と市場にとり正念場となる。中銀の緩和解除が早過ぎて投資家に動揺が広がれば、景気信頼感を損なって回復が失速しかねない一方、転換が遅過ぎればインフレ加速や、住宅を含む資産価格の急上昇で金融の安定性に害が及ぶ。

  モルガン・スタンレーの米債券調査責任者、ビシュワナス・ティルパチュー氏は27日の顧客向けリポートで、米連邦準備制度のタカ派姿勢への傾斜によって、今後発表される経済統計が市場に与える影響は増幅されるとして、警戒を呼び掛けた。

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