(ブルームバーグ): 日本銀行の中川順子審議委員は30日の就任記者会見で、金融政策運営は現行緩和策の継続が適当との認識を示すとともに、今後の環境変化には柔軟に対応していく考えを示した。

  中川氏は日本経済について、新型コロナウイルス感染症の影響が続く中で経済・物価の下振れリスクに注視が必要とし、変異株の動向などで「景気回復が遅れるリスクなど不確実性が高い」と指摘した。ただ、景気は基調として持ち直しており、感染症の影響が和らいでいけば「成長を続ける」とも語った。

  金融政策運営に関しては、3月の政策点検を受けて機動性と持続性を高めた現在の長短金利操作付き量的・質的金融緩和の継続が適当と言明。その上で、経済・物価情勢などの変化には「躊躇(ちゅうちょ)なく対応していくことが重要」と述べた。

  日銀が6月の金融政策決定会合で導入を決めた気候変動対応を支援する新たな資金供給制度については、物価と金融システムの安定という日銀の使命に即した関与が前提との見解を示した。

  上場投資信託(ETF)の買い入れは金融緩和の一環であり、リスクプレミアムに働き掛けることで経済・物価にプラスの影響を及ぼすことが目的だと指摘。出身の野村アセットマネジメントが日銀のETF買い入れで信託報酬を得ていることに関しては、「公正中立を守りながら、審議委員の職責をまっとうしたい」と語った。

  中川氏は29日に任期満了を迎えた政井貴子審議委員の後任で、正副総裁と審議委員の計9人で構成される最高意思決定機関の政策委員会では唯一の女性となる。2019年4月に野村アセット初の女性社長となり、野村ホールディングスでも初の女性執行役や財務統括責任者(CFO)に就いた。

  今年に入り、野口旭氏も4月に桜井真氏の後任として審議委員に就任。現在の政策委メンバーのうち、積極的な金融緩和によって経済成長と緩やかなインフレの実現を目指すリフレ派が、若田部昌澄副総裁と片岡剛士、安達誠司の両審議委員、野口氏の計4人を占めている。

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