(ブルームバーグ): 欧州中央銀行(ECB)当局者は、他の主要国の中銀が金融緩和縮小の検討を開始し、ECBだけが超緩和的な金融刺激策を続ける様相が強まる中で、危機対応の次の段階に備えている。

  米連邦準備制度などが政策の軌道修正に動く状況で、欧州の初期段階の景気回復をどう支え続けるべきかECBは近く難題に直面する。やり方次第では、金融市場の激しい動揺を招き、ユーロ圏各国の借り入れコスト押し上げにつながりかねない。

  ジェフリーズ・インターナショナルのエコノミスト、マーシェル・アレクサンドロビッチ氏は「利上げは言うまでもなく、量的緩和(QE)終了や政策正常化の点でも市場が米国について織り込もうとする材料を欧州についても織り込むことをECBは望まない」と分析。「欧州市場が米国に大きく後れを取っているという認識を定着させるため、詳細に説明したいと考えるだろう」と指摘した。

  ECB当局者らは、そのような危険を念頭に大西洋両岸の景気回復段階とインフレリスクの違いを既に強調し始めており、ラガルド総裁も先週の欧州議会で、ユーロ圏と米国の経済は「明らかに異なる状況」にあると力説した。

  米連邦準備制度のほか、英国とカナダ、ノルウェー、スウェーデン、韓国、ニュージーランドの中銀が引き締め方向の調整を少なくとも検討するシグナルを発した。今年はブラジル、トルコ、ロシアに続き、メキシコとハンガリー、チェコも先週実際に利上げに動いた。

  短期金融市場は、米連邦準備制度のタカ派旋回に最も強く反応し、ECBの利下げ期待がほぼ消滅したほか、2023年に中銀預金金利の最初の引き上げ(10ベーシスポイント=bp、1bp=0.01%)を織り込む動きとなった。

  ECBの超緩和的スタンスはユーロ安を持続させ、輸出競争力を強化する一方、輸入物価上昇に伴い抑制されていたインフレが加速する危険もある。

  ゴールドマン・サックス・インターナショナルの金利ストラテジスト、ジョージ・コール氏は、米国の利上げ期待の波及効果は最近数年より強くなると予測。7−9月(第3四半期)は指標が示す景気の勢いが増し、ユーロ圏の中核的な利回りは最大10bp上昇するとの見通しを示す。

  米国の政策シフトがさらに加速すれば、ECBの仕事はより難しくなるだろう。

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