(ブルームバーグ): 1日付で就任した全国銀行協会の高島誠会長(三井住友銀行頭取)は、2050年までのカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量の実質ゼロ)実現に向けて、移行の取り組みを支援する「トランジション・ファイナンス」を国内で建設的に進める必要があるとの認識を示した。

  高島氏はブルームバーグとのインタビューで、気候変動リスクへの対応を高度化させる欧州に比べ、「日本が遅れているのは否定できない」と指摘。資金調達や脱炭素の取り組みの面で国内産業へのネガティブな影響を防ぐ意味でも長期的な取り組みを後押しするトランジション・ファイナンスの重要性を強調した。インタビューは6月15日に行った。

  サステナブル投資が世界的に拡大する中、欧州では投資や経済活動がグリーンか否かを定義する「EUタクソノミー」の枠組み策定が進んでいる。一方、経済産業省は5月、産業界が脱炭素への構造転換を目指す取り組みに対しても資金を得やすくするためトランジション・ファイナンスの枠組みを設けて基本指針を示した。

  高島氏は欧州で広がる「二元論的な」投融資判断の傾向が「結果的に本当にいいことなのか」と疑問を呈する。各企業が50年までに脱炭素を実現するために必要な技術への投資も欠かせず、その移行過程をファイナンス面で支援する重要性は国際的にもっと主張してもいいとの考えだ。 

明確な方針必要

  気候変動対応では、地球温暖化に悪影響を与える企業への投融資を引き揚げる「ダイベストメント」の動きが欧米を中心に加速している。石炭火力発電所への投融資を限定的ながら継続する日本の銀行に対しては、パリ協定の目標に沿った投融資について環境団体から株主提案が提出されるなど、対応強化が求められている。

  NGO団体「気候ネットワーク」の平田仁子国際ディレクターは、「ダイベストメントが唯一の重要アプローチとは思っておらず、排出量の多い企業のトランジション(移行)を促すことは否定すべきでない」とコメント。ただ、明確な指標や目標の下で行わないと「単なる延命や、現状の先延ばしになる可能性が大きい」として、投融資の対象とする技術選定などで明確な方針が必要と述べた。

  石炭火力向けの融資では、三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループの3メガ銀行とも、40年度をめどに残高をゼロにする方針を示している。

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