(ブルームバーグ): 日本銀行は7月15、16日の金融政策決定会合で、気候変動対応投融資を支援する新たな資金供給制度の骨子を公表する。金融機関の利用残高に応じてプラス金利を付利することを通じて、日本経済のグリーン化を後押しする仕組みになるとの見方が出ている。

  気候変動対応オペの導入に際しては、金融機関への資金供給に一定の金利をインセンティブとして付利する貸出促進付利制度の枠組みの活用が広く予想されている。同制度では現在、新型コロナウイルス感染症対応金融支援特別オペの一部に最も高い0.2%の付利を適用。黒田東彦総裁は気候変動問題を中央銀行の使命に関わる重要な政策課題に位置付けており、新たなオペでもプラス付利が選択肢となり得る。

  三菱UFJモルガン・スタンレー証券の六車治美シニア・マーケットエコノミストは、気候変動オペに対する付利は「おそらく0.1%か0.2%ではないか」と予想する。気候変動対応を積極的に支援することによって「日銀としてできることをやるという姿勢をみせようとしている」と語った。

  市場の一部では、対象事業の評価などによって付利のカテゴリーに変化をつける可能性を指摘する声があるが、事情に詳しい関係者によると、その場合は気候変動に対応する事業の分類に踏み込むことになるため、日銀は慎重だという。

  市場中立性への配慮や資源配分への関与を回避する観点から、日銀は気候変動オペでは金融機関が自らの判断に基づいて実施する投融資に対してバックファイナンスを行う。

  六車氏は、日銀自身が要件を作るのではなく政府が示す気候変動対応に関する投融資のガイドラインを採用する可能性を指摘する。市場では、企業や金融機関が気候変動に対応した事業や投融資であることを公表した案件を対象にするのではとの見方もある。

海外向け投融資

  邦銀が海外展開を積極化する中、海外向け投融資が新たなオペの対象になるかどうかも大手行を中心に関心が高い。気候変動問題は国際的な協調も必要なテーマであり、例えば中東のグリーン化プロジェクトへの支援がエネルギー依存の高い日本の取り組みにプラスとなる可能性なども議論になりそうだ。

  日銀は気候変動オペの年内開始を目指し、金融機関へのヒアリングを開始した。高島誠全国銀行協会会長(三井住友銀行頭取)はインタビューで、2050年までの温室効果ガス排出量の実質ゼロ実現に向け、移行の取り組みを支援する「トランジション・ファイナンス」を国内で建設的に進める必要性を指摘した。新オペの利用が進むかは、海外や移行対応向けの投融資の取り扱いなど具体的な制度設計が鍵を握る。

  黒田総裁は6月18日の記者会見で、日銀の対応によって「金融機関が気候変動対応の投融資をさらに拡大していく」ことに期待感を表明した。市場では中央銀行の権限が際限なく拡大し、政府との責任の所在が曖昧になってしまうことを懸念する声が少なくない。関係者によると、欧州の中銀が気候問題への取り組みを主導する中、日銀当局者は受け身と見られたくないという。

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