(ブルームバーグ): アジア各地で新型コロナウイルスに伴う制限措置が再び導入されたことで個人消費は鈍化しているものの、域内の大国でインフレ率が上昇を続ける可能性がある。

  ブルームバーグのエコノミスト調査によると、来年のインフレ率は中国で今年を80ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上回る予想で、今年と来年の比較で最大の伸びが見込まれる。インドネシアが75bpで2番手だ。一方、フィリピンは来年のインフレ率が今年を120bp下回り、最も大きな伸び鈍化が予想される。

  インフレ動向の違いは、各国・地域の中央銀行がパンデミック(世界的大流行)期に講じた刺激策を解除するペースに影響してくる。韓国では6月の消費者物価指数(CPI)が前年同月比2.4%上昇し、年内の利上げ開始が予想される。一方、オーストラリア準備銀行の利上げは2023年となる見通しだ。

  輸入商品のコスト高により中国の生産者物価指数(PPI)上昇率は5月に08年以来の高水準に達したが、CPI上昇率は比較的安定している。ただ、来年はCPI上昇率が今年の1.5%から2.3%に加速、PPI上昇率は1.9%に鈍ると見込まれている。

  フィリピンのインフレ率は今年4.2%、来年は3%に落ち着く見通し。最近の大きめな伸びには統計上のベース効果も影響しており、これについては今年11月からそうした効果が徐々に薄れるとリザル・コマーシャル・バンキングのエコノミスト、マイケル・リカフォート氏は指摘している。

  来年はアジア地域のほとんどの国・地域でインフレ率は4%を下回る水準にとどまる公算が大きいが、インドとスリランカは4.7%以上と2年連続で域内のペースを上回る伸びが見込まれる。

  インドは中国で見られる生産コスト上昇に伴うインフレに似たような状況となりつつあり、物価懸念が最近、年限短めのインド・ルピー建て債売りにつながっている。

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