(ブルームバーグ): 中国国務院(政府)は企業向け融資を増やすため、中国人民銀行(中央銀行)が預金準備率引き下げなどを通じて銀行への流動性提供を強化する可能性を示唆した。これを受け、8日の取引で中国の10年国債利回りが昨年8月以来の3%割れとなった。

  国務院は李克強首相が議長を務めた7日の会合後の声明で、当局が「預金準備率引き下げを含む金融政策手段を用い、適切な時期に中小企業を中心として実体経済への金融支援を強化する」とした。商品価格上昇の影響への対応で企業を支援することが狙い。

  国務院の声明は、来週発表される4−6月(第2四半期)の国内総生産(GDP)などの経済指標が失望される内容になると当局がみていることを示唆する可能性がある。ブルームバーグ集計のエコノミスト予想ではGDP伸び率は8%と、1−3月期の18.3%から鈍化する見通し。

  陸挺氏ら野村ホールディングスのエコノミストはリポートで、「年後半に何らかの政策緩和へのシフトがあっても驚きではない」と分析。「ただ、預金準備率引き下げなど注目される手段は市場およびわれわれにとっては大きなサプライズだ」と指摘した。野村は人民銀が向こう数週間で預金準備率を一律50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)引き下げる可能性が最も高いと予想している。

債券利回り低下

  中国の10年債利回りは8日、7bp低下の2.99%となった。

  国務院は昨年6月にも預金準備率引き下げの可能性を提起したが、人民銀は行動しなかった。

  それから1年余りを経て再提起したことは「注目に値し、実際の引き下げの確率の可能性をおそらく高めるだろう」とゴールドマン・サックス・グループはリポートで分析。国務院の声明は成長重視への明確なシフトを示し、金融面から実体経済を一段と支援する必要性に照準を定めていると指摘した。

  人民銀が預金準備率を前回引き下げたのは、新型コロナウイルス禍のロックダウン(都市封鎖)後の景気てこ入れに取り組んでいた2020年半ば。新規貸出金利の指標となる金利も昨年前半の引き下げ以降、変更を見送っている。

  人民銀の貨幣政策委員会は先週、国内外の環境が複雑かつ厳しいものの、中国経済は安定性を増し、改善が進んでいるとの認識を示した。

中国経済、安定と改善が進んでいる−人民銀の貨幣政策委

  中国証券報は、当局が中小企業や経済を支援するために、近く中小金融機関の預金準備率を引き下げる可能性があると報じた。中国民生銀行の温彬エコノミストを引用している。

中国、9月に預金準備率引き下げも−中国証券報がエコノミスト引用

(第5段落の10年債利回りを2.99%に更新します)

©2021 Bloomberg L.P.