(ブルームバーグ):

欧州中央銀行(ECB)は8日、インフレ目標を引き上げると発表した。インフレ率が一定期間オーバーシュートすることを容認する可能性も示唆し、さえない成長が続くユーロ圏経済の押し上げで当局者の裁量の余地を拡大した。

  1年半に及んだ戦略点検の結果としてECBは、中期で「対称的な」2%のインフレ率を目指すことで政策担当者が合意したと明らかにした。  金利が現在のように実質的な下限付近にある場合には、経済が「とりわけ強力な」金融緩和を必要としており、「インフレが一時的な期間、度を超えない程度に目標を上回ることも示唆され得る」との認識を示した。

  従来のインフレ目標は「中期で2%を下回るがそれに近い水準」で、今回の決定は大きな転換となる。一部の政策委員会メンバーはこの文言があいまい過ぎ、性急な引き締めへの要求につながると主張していた。

  発表後の記者会見でラガルド総裁は、「新原則はあいまいさを全て取り除くとともに、2%は上限ではないと明確に伝えている」と説明。点検結果に関する合意は全会一致だったと付け加えた。  マネックス・ヨーロッパの為替市場アナリスト、イーマ・サマーニ氏は、今回の結果は「短期的には差し引きでハト派的だと捉えられ得る」と指摘。「新たな対称的インフレ目標は、市場への対処を必要とせずに緩和的な金融政策をより長期間継続する十分な余地をECBに与える」との見方を示した。

  ECBはまた、気候変動問題を今後の金融政策の運営において考慮に入れると言明。インフレ動向を見極める補完的な判断材料に、持ち家のコストを加えることも検討し始めると表明した。

  ECBの戦略点検は2003年以来。ECBの役割を見直す最も包括的かつ野心的な取り組みとなった。

(ラガルド総裁の記者会見発言などを加えて更新します)

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