(ブルームバーグ): 世界各国・地域の中央銀行は危機対応で導入した金融政策の支援を縮小する方向に動いているが、多くの地域で発生する住宅価格急騰がその成否を問う試金石となりそうだ。

  金融刺激の解除が遅くなり過ぎれば、不動産価格をさらに高騰させ、長期的に金融安定を巡る懸念を増大させる危険がある。その一方で、強硬過ぎる解除は市場の動揺と不動産価格の下落を招き、新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)からの経済回復を危うくする。

  債券購入プログラムのテーパリング(段階的縮小)を支持する米連邦準備制度当局者も、そうすべき一つの根拠として住宅価格の上昇を挙げる。特に住宅ローン担保証券(MBS)買い入れは、既に過熱状態にある市場で住宅需要をさらにあおる不安がある。

  ニュージーランド(NZ)と韓国、カナダの中銀が政策決定会合を今週開く。いずれも住宅高騰を背景に価格抑制で何らかの対応を求める圧力が高まりつつある。

  ブルームバーグ・エコノミクス(BE)のバブル番付によれば、NZ準備銀行(中銀)は世界で最も過熱する不動産市場への対応を迫られており、住宅ローンの返済負担率(DTI)に制限を課すことも今後認められる。同中銀の予測は、政策金利であるオフィシャル・キャッシュレート(OCR)が来年下期に引き上げられる可能性を示唆した。

世界の不動産価格がバブルに警鐘−最も過熱気味の住宅市場ランキング

  ユーロ導入以来で最も大掛かりな戦略点検を終えた欧州中央銀行(ECB)は、公式インフレ指標に現時点で反映されていない持ち家コストについて、追加の評価対象とする方針を明らかにした。イングランド銀行(英中央銀行)も住宅市場に懸念を示し、ノルウェー中央銀行も超低金利が住宅市場に与える影響を不安視している。

  ECBと国際通貨基金(IMF)で勤務経験のあるナティクシスのアジア太平洋チーフエコノミスト、アリシア・ガルシアエレロ氏は「世界的に流動性が非常に潤沢な状況が続く限り、不動産価格は他の資産価格と共に高騰し続けるだろう。しかし家計にはるかに広範に影響するという点で、他の資産価格より格段に重大な意味を持つ」と指摘した。

  

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