(ブルームバーグ):

今年に入り長期金利が急上昇した場面で、米連邦準備制度当局者らは、米景気見通しへの信任投票とそれを明るく解釈した。

  同じ理屈を当てはめれば、米国の10年国債利回りが2月以来の1.25%に今月急低下した出来事は、投資家がこのテーマを多少再考した可能性を示唆する。

  投資家が景気後退を予想しているという意味ではない。米経済は速いペースで拡大し、経済予測の専門家は今年下期と来年にかけての成長をなお比較的楽観視している。債券投資家はむしろ少なくとも当面、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)後の成長加速へのパラダイムシフトという考えを捨て、インフレ高進の不安も軽視するようになったようだ。

  米政府の財政出動継続が長期成長率を2%より3%に近いペースに高めると投資家はもはや予想せず、連邦準備制度が昨年決定した金融政策の新たな戦略が、平均2%の目標へのインフレ率押し上げに成功すると考えていない。

  さらなる財政出動を伴う経済対策期待が後退し、連邦準備制度のレトリックがよりタカ派的になる状況で、債券市場の関心は、大規模な金融、財政刺激策が縮小に向かう来年より先の成長減速見通しにシフトした。

  PGIMのチーフエコノミスト、ネイサン・シーツ氏は、労働人口の高齢化と世界的需要不足といった構造要因が成長とインフレを抑制していた2019年への「バック・トゥ・ザ・フューチャー」だと指摘した。

  一方、TDセキュリティーズのグローバル金利戦略責任者プリヤ・ミスラ氏は7日のブルームバーグテレビジョンで、「米連邦準備制度が去ろうとしていると市場は言うが、経済がうまく対応できるかどうか分からない。それは『政策ミス』につながる話であり、当局は先送りする必要があると私は考える」と語った。

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