(ブルームバーグ): 中国人民銀行(中央銀行)が先週末に予想外の景気支援策を打ち出したことから、世界2位の経済大国が新たな減速段階に入りつつあるのかどうかを巡り、15日に発表される4−6月(第2四半期)国内総生産(GDP)などの経済統計は厳しく検証されることになる。

  新型コロナウイルス禍からのV字型の景気回復を受け、中国が昨年後半に始めた金融・ 財政引き締めからシフトしつつあるのかを巡り議論が広がっている。人民銀は9日に発表した預金準備率引き下げは流動性操作であり政策の方向が変わる兆しではないとしているものの、広範な動きを突然示したことは多くの市場関係者を驚かせ、成長見通しを巡る懸念にもつながった。

中国経済V字回復鈍る−世界に警鐘、預金準備率下げは見通し変化示唆

  4−6月の中国経済は、刺激策の段階的縮小に加え、原材料価格高騰や自動車業界の半導体不足、輸出の混乱を招いた局地的なコロナ感染再拡大などさまざまな逆風に見舞われた。15日の統計では以下のような点が注目されている。

成長の勢い

  4−6月GDPは前年同期比8%増と、1−3月(第1四半期)の18.3%増から大きく減速する見通しだが、中国で昨年実施されたコロナ対策のロックダウン(都市封鎖)で統計上のゆがみも生じている。

  そのためエコノミストらは前期比の成長率も注視している。1−3月の0.6%増から1%増に加速すると見込みだ。ただ前期比の数値は頻繁に改定されるため、2019年からの2年間の成長率平均に着目するのが最良と考えられており、その線でいけば前期比の成長率は5%超となる。

消費とリバランス

  新型コロナのパンデミック(世界的大流行)が所得に響いたことから、家計は依然として慎重だ。ただ月次小売売上高に見られる個人消費のペースは年初から徐々に持ち直している。2年平均の小売売上高伸び率は、5月の4.5%増を上回れば改善と見なされる。

  それでもパンデミック前の伸び(8%前後)を大きく下回るとの見通しは、中国経済が消費者需要けん引の「リバランス」にはまだ至っていないことを意味している。北京大学のマイケル・ペティス教授(ファイナンス)は「有意なリバランスと言えるまでには非常に長い道のりがある」と述べた。

投資と商品

  中国の不動産・製造業・インフラ投資は世界的な工業・商品サイクルを動かす。エコノミストらは減速傾向が続くと予想しており、1−6月の都市部固定資産投資は前年同期比12%増と、1−5月の15.4%増から鈍化する見込み。

  エコノミストらは統計上のベース効果を踏まえ2年平均で約4.2%増を超えれば加速を示すことになるとみている。年初来で伸びている製造業投資の役割拡大は、成長がより持続可能になっていることを意味し得る。

工業生産

  輸出と不動産投資が引き続く力強く、工業製品価格が上昇していることから、4−6月には鉄鋼など商品の月次生産が記録を塗り替えた。だが、世界的な半導体不足や工業の中心地である広東省で6月に導入された新たなコロナ対策などが、自動車などの一部消費財の生産を鈍らせた可能性がある。

  ブルームバーグ・ニュースのエコノミスト調査では、6月の工業生産は前年同月比7.9%増と、5月の8.8%増から減速すると予想されている。

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