(ブルームバーグ):

23日に開会した東京五輪は首都圏など多くの会場で無観客での開催が決まり、観戦客消費として見込まれた数千億円規模の経済効果は水泡に帰した。はしごを外された格好の食品メーカーや流通各社は、最後の砦として自宅で飲食をしながら応援する「おうち観戦」の需要に期待している。

  国内コンビニエンスストア最大手のセブン&アイ・ホールディングスは、巣ごもりでおうち観戦が増えると想定し、酒類やおつまみ、総菜の在庫を増やしている。ローソンも大会期間中にはファミリーサイズの商品が売れると予想し、人気の唐揚げ商品で大容量パックを試合開始初日の21日から発売した。

  東京五輪の公式スポンサー企業である明治もファミリーサイズのチョコレート菓子などの需要増加を想定。同じくアサヒビールは家飲み需要の発生を期待し、主力の「スーパードライ」缶製品の7月の販売数量について、前年同月比1割の増加を見込んでいる。

  アサヒビールの松山一雄マーケティング本部長は、下期の戦略発表会で五輪について「やれる範囲のことは全てやっていく」とした上で、家飲み用の商品を切らさずにしっかり供給していくと語った。

  アサヒは従来、競技会場などで酒類の提供を予定していたが、首都圏中心に多くの会場で無観客開催となり、もくろみは外れた。さらに東京都の場合は4度目の緊急事態宣言が発動中で、会場外の飲食店ではアルコールの提供自体が制限されており、酒類メーカーと消費者との接点は大幅に減っている。

  松山氏は、会社に対しプラスのレピュテーション(評判)が出てくるようにやってきたと説明。五輪期間中の家飲み需要の増加に期待感は示しつつも、「一気に大きく増えていくか、それほど単純な話ではない」と慎重な姿勢も見せた。

  首都圏で117店舗のスーパーマーケットを展開するサミットは、五輪開会式を含む22−25日の4連休の間、既存店の平均日商は前年同期比約12%の伸びとなり、中でも総菜が23.1%伸びた。

  広報担当の中村聖氏はブルームバーグの電話取材に対し、「総菜の中でも昼需要のお弁当の売り上げが減り、テレビ観戦のおつまみになるようなもの、唐揚げなどが買われた」と述べた。25日までに酒類も前週対比で約13%の伸びとなったという。

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