(ブルームバーグ): 中国企業に対する当局の締め付けを受け、ゴールドマン・サックス・グループやバンク・オブ・アメリカ(BofA)、モルガン・スタンレーなどの米投資銀行では引受手数料収入の急増の流れが反転する恐れがある。

  中国企業は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)時に米市場で行われた海外企業の上場で際立つ存在だった。しかし、中国当局が海外上場を目指すほぼ全ての企業に対しサイバーセキュリティー審査を義務付ける新たなルールを提案したことで、計500億ドル(約5兆4900億円)規模の新たな新規株式公開(IPO)・株式売り出し案件の実現が危うくなっている。

中国、海外IPOルール厳格化へ−ほぼ全ての企業対象 (1)

  ブルームバーグ・インテリジェンスのアナリスト、シャーニー・ウォン氏はリポートで、「国務院が6日発表した中国企業の海外上場に対する監視強化に伴い、下期に香港と米国でのユニコーン(企業価値10億ドル以上の未公開企業)上場が取りやめになる恐れがある」とした上で、「中国企業のIPOシェアは金額ベースで下期に40%弱と、上期の55%から低下する可能性がある」 と指摘した。

滴滴のADR急落、公開価格下回る−中国当局の締め付け強化が直撃

  投資銀行はこの1年に中国企業やその大株主による株式売却で492億ドルを確保した。これはその前の1年間に比べ452%の増加だ。内訳はIPOが230億ドル強、売り出しが260億ドルだった。

  より大型の案件が舞い込むことで投資銀行の手数料収入は増加傾向にある。中国の配車サービス大手、滴滴グローバルによる44億ドル規模のIPOだけで、ゴールドマンやモルガン・スタンレー、JPモルガン・チェースなどの米シンジケート団は8900万ドルの手数料を手にした。

中国の滴滴の米IPO規模は44億ドルに拡大−関係者 (2)

  この分野への関与は銀行によって異なる。ブルームバーグの集計データによると、過去1年間の市場シェアはゴールドマンが17%と最も高く、BofAとモルガン・スタンレーで上位3位までを占める。

  ゴールドマンはコメントを控えた。BofAとモルガン・スタンレーにコメントを求めたが、今のところ回答はない。

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