(ブルームバーグ): 米ニューヨーク市に拠点を置く企業は、マンハッタンのオフィスに従業員がいずれ戻ることが望ましいとのシグナルを発しているが、郊外に裏庭付きの住宅を購入し、地下鉄の駅近くの狭い集合住宅から引っ越すニューヨーカーは後を絶たない。

  コネティカット州グリニッチなどでは昨年も盛んだった住宅購入がさらに増えており、ニューヨーク州のハドソンバレーの不動産はかつてない速さで買い手が見つかっている。ニュージャージー州では住宅需要が衰えず、不動産鑑定士が少なくともあと1年は価格高騰が続くとみている。

  郊外の住宅購入ブームは新型コロナウイルス禍の初期に市民らが密を避けようとしたことで始まった。現在は生活や労働様式の文化的変化を捉えた買い手が増えており、需要はかつてなく強まっている。

  企業がオフィスへの復帰時期や方法を検討する中、従業員は空いた時間を利用して自身のプランを推し進め、予算や必要スペースを重視して住宅を購入し、やがて来るオフィス復帰に向け計画を練っている。

  ニューヨーク市北のウエストチェスター郡で不動産サイト運営レッドフィンのエージェントを勤めるケン・ワイル氏は「オフィスに出勤する必要がないと分かっている人も一部いるが、多くの人は未定だ」とし、「週に2日ないし3日出勤するというのが今の一般的なプランだ。週5日出勤というのはあまり聞かない」と説明した。

  同氏が不動産を仲介したマイコン夫妻は同郡ニューロシェルの寝室4部屋の住宅を購入する前は、ブルックリンの寝室2部屋の集合住宅で1年半在宅勤務をしていた。

  同僚や知人がフィラデルフィア郊外などに引っ越したことを受け、夫妻は不動産を探し始め、同郡の中でも遠過ぎないニューロシェルの住宅に決めたという。コンサルティング会社エデルマンで戦略グローバル責任者を務める夫のリー氏(48)は現在はマンハッタンのオフィスに週2日通勤しており、妻は最近、カリフォルニア州の会社のリモートワークを開始した。夫妻は今月、娘の誕生の数日後に購入契約を済ませた。

  リー氏は購入した住宅について、「2人とも在宅勤務をしたとしても十分な広さだ」とした上で、「オフィスに週数日出勤するという現実を認めつつ、選択を生み出す好機だ」と語った。

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