(ブルームバーグ):

菅義偉首相は1日、一部で報じられた9月中旬の衆院解散と自民党総裁選の先送りを否定した。官邸で記者団に語った。

  菅首相は新型コロナウイルス対策を最優先とする考えは同じとした上で、「今のような厳しい状況では解散ができる状況ではない」と述べた。「総裁選の先送りも考えていない」と話した。

  自民党役員人事と内閣改造を来週行い、9月中旬に衆院解散に踏み切る意向だと毎日新聞が31日夜の電子版で複数の政権幹部の情報を基に報じていた。

  選挙コンサルタントの大濱崎卓真氏は、全国の党員らも投票に加わる「フルスペック」の総裁選は衆院選に向けての素地づくりでもあり、先送りは「党内からの反発は非常に強い」と指摘した。このまま解散して総選挙で敗北すれば「菅首相の政治責任はかなり大きくなる」との見方も示した。

  自民党総裁選(9月17日告示、29日投開票)には、岸田文雄前政調会長がすでに出馬表明しているほか、高市早苗前総務相も意欲を示している。

各党の衆院勢力(8月11日現在)

  衆院選は選挙区289、比例代表176の計465議席を自民、公明の連立与党と立憲民主、共産、国民民主、日本維新の会などの野党が争う。首相は衆院選の時期に関し、「新型コロナ対策が最優先」と繰り返し発言していた。

  菅首相は昨年9月、体調不良で辞任した安倍晋三前首相を引き継いだ。コロナ対策では緊急事態宣言を発令してワクチン接種を進めているが、感染は収まっていない。一方、携帯電話料金引き下げやデジタル庁の設置、温室効果ガス排出を2050年までに実質ゼロにする「脱炭素宣言」も行った。4月にはワシントンを訪問し、バイデン大統領が初めて対面会談する外国首脳となった。

  NHKの世論調査で発足当初62%あった支持率は8月の調査で29%と政権運営が困難な「危険水域」といわれる30%を割り込んだ。地元で行われた8月の横浜市長選で自身が支援した候補が敗れたほか、4月の衆参補選・再選挙などでも自民党候補の敗北が続いている。

(有識者コメントなどを追加します)

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