(ブルームバーグ): 韓国国会は8月31日、アップルとグーグルのアプリストア向けのアプリ開発者に両社それぞれの決済システムの利用を強いることを禁止する法案を可決した。この種の法律は世界初で、アプリ決済の在り方に大きな影響を与える可能性がある。

  同法案はユーザーがさまざまな決済手段を通じ支払いできるようにするもので、9月にも文在寅大統領が署名すれば成立する。改正電気通信事業法はユーザーにアプリ決済プロバイダーの選択肢を与えることを義務付けるとともに、米エピック・ゲームズなどのアプリ開発企業にプラットフォーム所有企業による課金を避けることを可能にし、顧客との直接取引に道を開くことになる。

  人気ゲーム「フォートナイト」を手掛けるエピックはアップルとグーグルの課金は不公平だとして、両社を各地で提訴している。

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  スマートフォンのアプリ決済市場を事実上支配しているアップルとアルファベット傘下のグーグルは、ユーザーを詐欺とプライバシーの侵害から守るためだと主張し、アプリストア経由の販売に最大30%の手数料を課し、代替決済業者を排除している。ただ米国ではアプリ市場の条件を指示する両社の力を弱める法整備を多くの議員が検討している。

  オムディアのアナリストで消費者向けのデジタルプラットフォームに詳しいギレルモ・エスコフェット氏は韓国での法改正について、「各地での同じような行動の先例となり得る。巨大テクノロジー企業が握る強大な力を敵と見なす政治的雰囲気が優勢になっている」と述べた。

  グーグルはこれまで、ゲームアプリ以外でこの種の手数料を韓国で免除してきたが、今年10月に30%の課金を導入する計画を昨年発表。その後、法改正の動きが進んだことから、韓国では改正電気通信事業法は「反グーグル法」とも呼ばれている。

  グーグルによれば、同社の決済モデルは消費者の端末コストの抑制に寄与し、プラットフォームと開発企業が経済的に成功することを可能にしている。

  同社の広報担当者は「グーグルプレイ」は決済処理以上のものを提供しているとし、サービスに課す手数料は基本ソフト「アンドロイド」を無料で提供し続けることに貢献し、開発者に世界中の消費者数十億人にアクセスするツールとグローバルプラットフォームを提供していると指摘。その上で「高品質の運営システムとアプリストアをサポートするモデルを維持しながら、この法律を順守する方法を検討する。今後数週間でさらに多くの情報を共有していく」と述べた。

  アップルは改正法はユーザーの安全保護を損ね、「アップストア」での購入に対する信頼性を低下させ、最終的に韓国の開発者の収益機会を減らすことになると強調。同社の広報担当者は「電気通信事業法により、他の手段でデジタル商品を購入するユーザーは詐欺のリスクにさらされ、プライバシー保護が損なわれる」とともに、購入管理が困難になり、一部機能の効果が薄れると語った。

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