(ブルームバーグ): 22兆ドル(約2400兆円)規模の米国債市場が再び活気づくには、もう少し時間がかかりそうだ。

  米10年債利回りは先週に大きく動かなかった。8月の米雇用統計は、雇用者数の伸びが市場予想を下回る一方で、賃金上昇ペースは予想を上回るという強弱入り交じった内容となり、米金融当局が資産購入の縮小を急ぐとの観測が後退した。長く待ち望まれていたパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演後も、利回りはほとんど動かなかった。   ビル・グロス氏を含む債券市場のベテランが利回り急上昇のリスクについて警鐘を鳴らしているが、新型コロナウイルスのデルタ変異株の感染拡大が、米金融当局の債券購入のテーパリング(段階的縮小)計画を妨げる要因となっている。その結果、相場は「審判の日」を迎えるとの予想に反し、狭いレンジでの推移となっている。

  米10年債利回りが週間ベースで10ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)を大きく上回る変動を記録してから半年がたった今、ボラティリティーの指標は低下している。

  投資会社ウイルシャー・フェニックスの創業者でマネジングパートナーのビル・ハーマン氏は 「米国債市場はこうした小康状態にとどまるだろう」と指摘。「雇用統計はデルタ株への懸念を示しており、それは全て懸念にすぎないと判明するかもしれないが、われわれは提供されたデータで判断するしかない。デルタ株が封じ込められるまで、米金融当局は政策正常化に全く手を出せない可能性が極めて高いように見受けられる」と述べた。

  雇用統計が堅調な内容となり、米連邦公開市場委員会(FOMC)の今月21、22両日の会合でタカ派姿勢が強まるとの観測が広がった場合、3日は債券トレーダーにとって審判の日となる可能性があると考えられていた。しかし、8月の平均時給は予想中央値の2倍の伸びとなったものの、非農業部門雇用者数は前月比23万5000人増と市場予想を大きく下回った。

  雇用統計を受け、米金融当局が資産購入縮小の検討を少なくとも11月の会合まで先送りすることがほぼ確実になったと、エコノミストらは指摘している。3日に10年債利回りは上昇し、一時1.33%に達したが、週間ベースでは小幅上昇にとどまった。利回り曲線はスティープ化した。

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