(ブルームバーグ): 米インテルはアイルランドの自社生産施設を自動車向け半導体の製造に充てる方針だ。現在は供給不足で打撃を受けているものの、成長著しい車載用半導体市場に同社は進出する。

  アイルランド・キルデア州の工場はこれまで主力のコンピューター用プロセッサーを生産してきた。パット・ゲルシンガー最高経営責任者(CEO)は7日にドイツのミュンヘンで開幕したモーターショーで、同工場の生産設備を他社の設計による自動車向け半導体の製造に充てると述べた。ただ、同生産設備のうち、どの程度を充てるのかは明らかにしなかった。

  新型コロナウイルス禍が引き起こした半導体不足により、自動車メーカー各社は半導体の確保に追われている。アリックス・パートナーズによると、今年これにより失われる売上高は1100億ドル(約12兆1300億円)に達する見込みだ。

  半導体の危機的状況の主な要因はコロナ禍における計画性不足と半導体製造能力が限られていたことだった。これに加え輸送能力の低下や、東南アジアの工場でのデルタ株の感染拡大が事態を一段と悪化させた。

  さらに、高度な安全機能や、予想以上に速く進んでいる電気自動車(EV)へのシフトが自動車向け半導体需要を押し上げている。このため自動車メーカーの経営幹部はサプライチェーンや部品調達方法の見直しを迫られている。

  インテルは欧州で計画しているアイルランドを含めた生産施設の稼働時期の見通しを示さなかった。従って、自動車メーカーが現在抱える半導体不足の解消にこの動きが近い将来寄与するかどうかは不透明だ。

  ゲルシンガーCEOは同社が向こう10年間に最大800億ユーロ(約10兆4500億円)を投じて欧州の少なくとも2カ所に半導体工場の新設を計画しているとあらためて表明。2030年までに高級車の製造コストのうち半導体コストが占める割合は現在の4%から20%強に増えるだろうと述べた。

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