(ブルームバーグ): 外国人投資家が日本株に戻ってきた。菅義偉首相が自民党総裁選に出馬しないと表明したことがきっかけだ。外国勢による日本株買いは、安倍晋三前首相の経済政策「アベノミクス」が注目を集めた頃以来の高水準に膨らもうとしている。

  次期首相が誰になるのか市場に臆測が広がる中で、JPモルガン証券やベイリーギフォード、BNPパリバ・アセットマネジメントのファンドマネジャーやストラテジストは日本株に対する前向きな見方を強めている。

  JPモルガン証券の阪上亮太チーフ株式ストラテジストは、「2018年以降、海外投資家による日本株売買差額は売り越し傾向が続いており、ポジションが相当軽いと見られる点も勘案すると、海外投資家による日本株買いのポテンシャルは大きいと見られる」とリポートで指摘した。

  外国勢の取引が3分の2程度を占める日本株市場において、海外投資家のセンチメントが変わることによる影響は大きい。日本株は今年、先進国市場の中での出遅れ感が目立っていたが、東京証券取引所の1部では今月3日までの週で海外投資家の買い越しが3636億円に達し、外国勢の回帰を印象付けた。次期政権が支出を増やし、既得権を打破する改革を進めるとの期待からだ。

  日本取引所グループのデータによると、このままいけば今年の海外勢による日本株買いはアベノミクスへの期待が高まった13年以来の高水準となり、外国人投資家の買い越しは17年以来ということになる。

  TOPIXは1990年以来の高値を回復。BNYメロン・インベストメントのシニア市場ストラテジスト、ラリ・アコナー氏は菅首相の続投断念が「政治的な不確実さを取り除いた」として、日本株の助けになっているとみている。今秋の総選挙を控え、菅政権の支持率低迷で自民党内には危機感もあったが、今は総選挙が日本株を押し上げる可能性がある。

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  BNPパリバ・アセットは以前から日本買いを選択。同社のマルチアセットポートフォリオでは日本を「オーバーウエート」としていた。チーフマーケットストラテジストのダニエル・モリス氏は、「政治面での最近の変化はこうしたアロケーションをさらに支える」と話す。

  日本の新型コロナウイルスワクチン接種率が欧米と肩を並べる水準にまで上昇する中で、経済の本格再開は企業利益の持ち直しと共に前向きになれる理由だと投資家は言う。こうした要素に今後、強い与党からの政策支援が加わりそうだ。

  ベイリーギフォードのファンドマネジャー、プラビーン・クマール氏(英エディンバラ在勤)は日本株のバリュエーションについて、他国と比べ依然かなり割安だとみている。

  UBS SuMi TRUSTウェルス・マネジメントの株式調査責任者、居林通氏は株式と先物の買越額が3兆円を超える可能性はあるとみている。外国人投資家による日本株の売買動向を波にたとえ、「潮が満ちつつある」と述べている。

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